かつての民主党と何が違う? 2つの「新党」が結党大会で打ち出したこと
●中道改革の政策集団
新国民民主党の玉木代表は設立大会のあいさつで、新党の方向性について「政策提案型の改革中道の立ち位置を守り抜き進化していく」「事実とデータに基づいた偏らない現実的で正直な未来志向の政策を提案していく」ことを掲げた。 新党が目指す政策理念の一つについては「行き過ぎたグローバリズム資本主義、特に金融グローバリズムによって生み出された国家の脆弱性や社会の格差を是正していく国家戦略が求められる」と語った。 「個人の尊厳」「地域の尊厳」「国家の尊厳」の3つを守っていくとの方針を示す中で、グローバリズムは世界を豊かにした側面はあるが、日本においては食料安全保障、エネルギー安全保障、経済安全保障の観点で「弱さをもたらしている」と指摘。「世界に委ねる部分と国内で対応できる部分を峻別し、後者においては戦略的に閉じていく政策を打ち出して行かなければならない」との考え方を示した。さらに「自由、民主主義、法の支配という普遍的な価値への確信を深め、国内のみならず国際的にも毅然とした対応を貫く」とした。 憲法改正議論にも前向きな姿勢を打ち出した。「憲法審査会の議論は拒否しない」と述べ、国会での議論を積極的にリードするとした。地方の声を政策形成プロセスに反映するための課題の一つとして、参議院の「合区」問題にも言及。「合区の解消については(対象となった鳥取・島根、徳島・高知の)4つの県連からも要望をいただいている」として、憲法上の議論も含めて検討するとした。 さらに年内をめどに「令和時代の新憲法改正草案」を取りまとめる方針を示した。
●民主党の歴史背負う?
2つの新党には共通点がある。正式名称はそれぞれ「立憲民主党」「国民民主党」だが、略称を「民主党」とする方針であることだ。これについて新立憲民主党の枝野代表は「合流に至る経緯も含めて、略称は『民主党』ということでやっていきたいという政治的な明確な意思だ」とだけ述べた。 記者会見では新立憲民主党は「かつての民主党と何が違うのか」という趣旨の質問が相次いだ。合流新党の代表選では、旧国民民主党から参加した泉健太衆院議員が「歴史を背負いながら、新たな仲間とともに新しい民主党をつくりたい」と訴え、党名に「民主党」を推した経緯がある。 枝野氏は旧民主党との違いについて「自民党・新自由主義」との対立軸を明確化したという点を強調した上で、「今回(の合流をめぐる解党で)ついに1996年からの民主党が法的には解散した形。法的にも違う(政党である)し、理念綱領も全く違う」と強調。新党に参加した江田憲司氏や中村喜四郎氏の名を挙げ、「構成員も違うし、3分の1以上は当時の関係者ではない」とした。 「1998年綱領」と呼ばれる旧民主党の基本理念には、「旧体制を打ち破り」「自立した個人が共生する社会」「民主中道の新しい道」「市場原理の徹底」「公平な機会の均等」などといった文言が見られる。 合流新党は「昭和の成功体験から抜け出し、明確な対立軸とそれを実現するビジョンがあると自信を持って言える」と語った上で、野党の合流新党の結党のタイミングが歴代最長となった安倍政権が終わるタイミングと一緒になったのは「ある意味で時代の要請か」と運命論的な表現で意義を語った。