18歳日本人DF、高卒→海外挑戦の真実 「全然パスも回ってこなかった」…渡欧半年で模索した道【インタビュー】
ヘンクのセカンドチームでプレーするDF吉永夢希が移籍理由を明かした
今年3月にベルギーの強豪ヘンクに加入したDF吉永夢希は現在、主にセカンドチームでプレーし、2部リーグながらも主力として活躍。今後のさらなる飛躍に期待が寄せられるなか、高校卒業とともに即欧州への挑戦を決断した理由や今後への思いを語ってもらった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小西優介/全2回の1回目) 【写真】「かわいすぎる」と話題 天才17歳と顔を寄せ合いラブラブの美人彼女 ◇ ◇ ◇ 吉永は幼稚園でサッカーを始め、その後地元の熊本県で有名なソレッソ熊本でプレーし、高校は鹿児島の名門・神村学園に進学した。「高校サッカーを昔からテレビで見ていて、お話があったときはここで日本一を取りたいと思った」という理由で神村学園を選んだ。 神村学園へ入学当初は苦労したという。「最初の1年は周りのレベルが高くて、もっと頑張らないと、必死にやらないといけないと思いました」と、ついていくのが必死だったと明かした。それでも2年生の夏前ごろから頭角を現すと、翌年行われるU-17アジアカップの予選を戦うU-16日本代表メンバーに選ばれた。 「2年生のインターハイが終わった頃からアンダー代表に選ばれて、そこから自信がついて、プロを目指していけると感じた」と本人が語るように、その冬行われた全国高校サッカー選手権でチームはベスト4の結果を残し、吉永は2年生ながら大会優秀選手に選ばれると、翌年にはU-17アジアカップ、U-17ワールドカップ本戦と順当に代表へ選出された。 そして3年生の昨年10月にヘンク加入が内定。18歳となった今年3月19日に4年半契約を結んだことを発表した。加入が内定した状態で挑んだ最後の高校サッカーでは惜しくもベスト8で敗れるも、吉永は得点も記録し、2年連続で大会優秀選手となった。 「海外へ練習参加をさせてもらった時に、環境が素晴らしくスタッフや選手も含めてここなら自分が一番成長できると感じたし、小さいころから海外でやりたいと思っていたので決めました」と、ヘンクに練習参加した際感じたことを振り返った。 それでも最初は「海外でプレーしたいと家族に話をしたとき、親は『最初は国内でやってから、海外行ってもいいんじゃない?』という感じだった。でも『最後は自分が決めればいいと思うよ』と言われ、周りの(福田)師王くんや有村(圭一郎監督)先生に相談し、背中を押してもらったことも決め手になった」と高卒で国内を経由せずに海外移籍を決めた理由を明かした。 現地ベルギーに住んで半年以上が経とうとしているなか、「まず日本と施設が全然違うなと。ピッチが5面ぐらい並んでいて、日本じゃなかなか見られない。初めてヘンクの施設を見た時はびっくりした」と驚いたことを挙げた。 現在はたまにトップチームの練習に参加する機会があるものの、セカンドチームで主にプレーをしており、ここまでのリーグ戦は開幕から7試合連続でスタメンフル出場を果たしている。第2節のRFCリエージュ戦ではコーナーキックのこぼれ球に反応し、左足ダイレクトボレーで合わせて豪快にネットを揺らした。 ゴールに加えてアシストも記録するなど、順風満帆な海外キャリアに見えるが、ベルギーに来た当初は「全然だった」と触れ、「プロの世界は強度も、止めて蹴るの質も違う。海外は結果がすべてで、1つ1つのチャンスをものにできないとやっていけないと感じた。最初は言葉も通じないなかで、全然パスも回ってこなかった」と苦労した話を振り返った。 「ベルギーへ来てから半年、自分の足りない部分や、身体作りをしていって、だいぶ当たり負けしないようになった。積極的にコミュニケーションを取り、自分の強み、特徴も少しずつ出せるようになった。上に行くにはまだまだ足りないことばかりなので、もっと頑張りたい」と意気込んだ。 さらに「課題は守備の部分。対人の強さはもっとレベルアップしないといけない」と自分に向き合い、「まずはセカンドチームでしっかり結果を残して、早い段階でトップに昇格して試合に出る。ロス五輪を目指してやっているので、まずはメンバーにしっかり入って活躍して、最終的にはA代表に入りたい」と18歳の若武者は、4年後に控えるロサンゼルス五輪での活躍を挙げつつ、将来に向けて明確な目標を掲げ日々精進している。 [プロフィール] 吉永夢希(よしなが・ゆめき)/2006年2月22日生まれ、熊本県出身。プロを何人も輩出しているソレッソ熊本から名門・神村学園に進学。高校2年、3年と全国高校サッカー選手権で優秀選手に選出。23年10月にヘンクへ内定、翌3月に4年半契約を発表。U-17アジアカップ、U-17W杯に出場。U-18日本代表スペイン遠征にも選出。
FOOTBALL ZONE編集部・小西優介 / Yusuke Konishi