指示を出さない「イタリア人の上司」の指導には、コーチング理論に裏打ちされた「綿密な計算」があった
■武器としての「ファシリテーション」 つまり、会議の推進体制と議論のステップを「仕組み化」したのです。 こうして次第に会議の質が向上し、事業計画もようやく形になっていきました。その結果、プロジェクトは大きく進展しました。そして経営会議で進捗を報告し、CEOをはじめとする上層部からの支援や投資を引き出すことができました。 プロジェクトは6カ月で立ち上がりました。もちろん私ひとりの力ではなく、当時一緒に仕事をしたメンバーたちが優秀であったことが大きな成功要因です。
ファシリテーションは、業界の壁、部門の壁を超えて活用できるコミュニケーションの「武器」なのだと実感しました。 自分の知識や専門性をもとに自分が主体で議論をリードするアプローチではなく、部下やチームの知識や専門性を引き出しながら、参加者が主体で議論をリードするアプローチの効果の大きさを体験できたのです。 この経験を通じて、私はファシリテーションが単なる会議進行のスキルではなく、メンバーの力を最大限に引き出し、チーム全体で成果を上げるための非常に重要な手法であることを改めて学びました。
金田 博之 :ゼットスケーラー株式会社代表取締役