【#佐藤優のシン世界地図探索75】モスクワから見た日本の「自民党総裁選」
佐藤 はい。5年後、森さん、麻生さん、二階(俊博)さんは現役でしょうか? ――もしかしたら、お亡くなりになっている可能性があります。 佐藤 そうなると、5年後のキングメーカーは誰だと思いますか? ――岸田さん? 佐藤 そうです。 ――それは納得のいく計算ですね。 佐藤 次の総裁選で凄惨(せいさん)な戦いをすれば、ボロボロになってしまいます。仮に勝つとしても、非常に弱い勝ち方です。 ――報道によると、必ず岸田詣でをして「私こそが岸田首相の政策を引き継ぎます」と売り込んでいる総裁選候補者もいるそうですよ。 佐藤 いずれにしても次の総裁選は「終わりの始まり」です。自民党はこれから混乱期に入ります。だから、岸田さんは自民党政権崩壊の弔辞を読むのを避けたのだと思います。 ――なんと!! 佐藤 いまの自民党の党内情勢で、彼はそう判断したのではないでしょうか。 ――深海の底から見上げると、何が沈んで来るのかよく分かりますからね。 佐藤 そうです。自分の生き残りを考えれば、総裁選に出馬せずにいるのが正解です。弔辞を読まずに済むし、自民党総裁になりたいと長老の顔色をうかがいながら一緒にゲコゲコと鳴いている壮年政治家がたくさんいますからね。 ――最後の自民党総裁になりたがっているラストスタンドマンの方々ですね。 佐藤 ゲコゲコと鳴いている人物がひとり、ふたりいます。そして、その人間が短期間のうちに弔辞を読むことになります。そこで岸田さんは「自民党が崩壊するのは俺の責任ではない。その後に生き残ればチャンスは何でもあるだろう。俺はまだ若いし」という計算だと思います。 そして、そのポイントは何かというと、国連総会に行くことです。 ――国連総会と首相辞任がリンクしているんですか?
佐藤 国連総会で「ちょっと待っていてね。I shall return!」みたいな話をするわけです。 ――戻って来られるんですか? 佐藤 安倍さんと一緒ですよ。ただし、その時はどういう建付けの政権になるかは分かりません。 ――「岸田路線は継承されていくでしょう」といったような政権......。 佐藤 だから、深海魚なりの計算があると思いますよ。 ――「日本のハリス」と言われる上川(陽子)外務大臣はどうなんですか? 佐藤 もはや関係ありませんね。 ――ドリル優子(小渕優子)さんはどうでありますか? 佐藤 プレイヤーに入っていません。 ――すると、弔辞を読む方はどなたに? 佐藤 コバホーク(小林鷹之)か、(小泉)進次郎でしょうね。 ――若手の二枚看板のいずれか、と。 佐藤 コバホークの場合は、財務省の言いなりになりますよ。彼は頭の回転は速いし、成績もいいです。しかし、開成→東大出身ですからそのネットワークの外には出られません。どこまで民衆の感覚が分かるかです。 ――進次郎さまはどうでしょう? 佐藤 進次郎さまは三代目の大変ピカピカな家系ですが、出身大学や高校を考えると、最も民衆に近いところにいます。 ――東海大卒の自分としては本当にお仲間だと思います。 佐藤 だから、そこは実はプラスになっているんですよ。民衆からの反感を買いませんから。 ――ぜひ首相になったら、コンビニのビニール袋をタダに戻して欲しいです。 佐藤 コンビニのレジ袋といえば、東工大の先生に聞いたのですが、結果としてはすごく良いビジネスになったそうですよ。 ――意味が分からないのですが......。 佐藤 あのビニール袋1枚の原価はものすごく安いんです。 ――コンビニではだいたい小中サイズが3円、普通サイズが5円、特大サイズが7円であります。 佐藤 原価を調べてみてください。 ――0.5円から2円であります。 佐藤 そう、だからビニール袋は、コンビニで一番利益率の高い商品なんです。 ――すると、進次郎さまはコンビニ業界の神様。