1期目に”防波堤”となった外交エリート陣は起用しない?トランプ外交政策が「やりたい放題になる」根拠
「中国を次期トランプ政権の主要ターゲット、あるいは中心にすることは不必要なことであり、おそらくありえない」と、元情報当局高官で、長年中国に携わってきた人物は語る。 「トランプや彼の手下にとって、すぐに見返りがあることはほとんどないだろう。彼は威張り散らし、関税を脅し、習近平との関係を自慢するだろうが、おそらくバットを振ることはないのではないか」 トランプの新たな主要支持者であるテスラのオーナー、イーロン・マスクは中国で広範なビジネス関係を持っており、同社の全世界の自動車生産の半分以上は上海の巨大な工場で行われている。
■北朝鮮問題はどうなるのか トランプのもう1つの関心の対象は、北朝鮮の独裁者、金正恩かもしれない。トランプは金との”温かい関係”について語り続け、金と和平協定を結ぶ機会を逃したことを嘆いている。 その協定はハノイでの第2回首脳会談でほぼ合意に至ったが、金の要求が大きすぎることと、当時の安倍晋三首相の介入に支えられたトランプ政権内の反対により頓挫した。 が、新政権内にはそのような抵抗はないだろう。石破茂首相はトランプとそのような緊密な関係を持っておらず、また築くこともできそうにない。北朝鮮の核能力と日本に到達可能なミサイルシステムを封じ込める協定への最も深刻な障害は、金正恩自身から来るかもしれない。
トランプは金正恩が両手を広げて待っていると主張するかもしれないが、北朝鮮はその後ロシアと緊密な軍事同盟を結び、ウクライナ戦線に1万2000人の兵士を派遣している。 北朝鮮との交渉はトランプとプーチンの”抱擁”に続くものとなる可能性が高いが、その場合でも金正恩は新たな権力を利用してトランプにはるかに大きな見返りを求める可能性が高い。 ■日本と韓国との関係はどうなるか しかし、より可能性が高いのは、米韓関係の崩壊、韓国からの防衛費分担金支払いの再交渉の要求、韓国に駐留する約2万8500人のアメリカ軍の撤退開始だ。