1期目に”防波堤”となった外交エリート陣は起用しない?トランプ外交政策が「やりたい放題になる」根拠
トランプは、ウクライナへの軍事援助を打ち切り、ロシアの指導者ウラジーミル・プーチン大統領が提示した降伏条件を受け入れるようウクライナに働きかけるつもりであることを、副大統領となるJ・D・バンスと同様に繰り返し明らかにした。 トランプはまた、NATO(北大西洋条約機構)への安全保障のコミットメントを放棄すると脅し、プーチンがバルト三国を手始めにソビエト帝国の一部を再び支配し、ポーランドを脅かす道を開く。
元駐ロシア大使で、スタンフォード大学国際問題研究所所長のマイケル・マクフォールは、「トランプは、選挙でよりクレイジーなことをする権限を与えられたと感じるだろう」と予測していた。 「彼が勝利した場合、NATOやアジアの同盟国については、プーチンがやりたいようにやれ、とトランプが言うのをアメリカ国民が支持すると考えるだろう。歴史が示しているのは、アメリカという国が強いとき、強さによって平和を示すとき、より平和的な結果が得られるということだ。弱さを示すとき、独裁者をなだめようとするとき、悪いことが起こりうる」
■外交アドバイザーのメンツは変わる可能性 1期目には、共和党の国家安全保障エリート分野における責任ある人物の存在、彼自身の無能さ、そして権力への不慣れさによって、こうした目標を追求することを制約された。が、そうした制約はもはや存在しない。 「最初の任期中、彼は外交政策チームを伝統的な共和党員、マイク・ポンペオ(元国務長官)、ジェームズ・N・マティス(元国防長官)、ハーバート・レイモンド・マクマスター(元国家安全保障問題担当大統領補佐官)、ボルトンのような、保守的な共和党の人物に外交政策については頼っていた」とマクフォールは『キエフ・インディペンデント』紙に語っている。
「彼らは間違いなく、トランプが提案した最もクレイジーなことのいくつか、そのリストのトップにあるNATOからの脱退を阻止した。今回違うのは、それらの人物は誰もトランプ政権にはいないということだ。トランプは彼ら全員を軽んじている」 こうした懸念にもかかわらず、トランプは少なくとも、特に貿易と経済政策の領域では、中国をアメリカの主要な敵国と見なし続けるだろうと推測されている。そのため、日本と韓国の政策立案者たちは、北東アジアにおける同盟関係はトランプ政権にとっても引き続き価値があると信じている。