「ピッティ」取材24時 新境地「マリーン セル」から“白Tパーフェクト兄さん”まで
「プラン C」
「プラン C(PLAN C)」は、2025年春夏シーズンにデビューするメンズラインを「ピッティ」で披露しました。ウィメンズの雰囲気を踏襲し、さわやかな色使いとポップなアーティーモチーフ、ゆったりしたシルエットで、“かわいいメンズウエア”ゾーンの開拓を狙います。デニムのアイテムが売れそうな予感です。
ウィメンズとの調和にこだわっているので、メンズもあくまでその延長線上という印象でしたが、のけぞったのは、アーティスト兼デザイナーのドゥッチョ・マリア・ガンビ(Duccio Maria Gambi)と考案したインスタレーションでした。パフォーマー数人がコンテンポラリーダンスを披露しており、何か意味があるのかもしれないと立ち止まって鑑賞します。すると、何となくモジモジくんのように人体文字のようにも見えてきて、(これはPとCでブランドイニシャルになるのではないか)と勝手に解釈し、目を輝かせ、(お、Cっぽくなってきた。あとはP!)とじっと待ち続け、結果全く何も起こりませんでした。服が動きやすいのは伝わった。どうしても「マルニ(MARNI)」と比べられるのは宿命なのですが、今回のドゥッチョのようなアーティストとの協業が、ブランドの個性をより研ぎ澄ませていく予感です。マリア・ガンビは、同ブランドのギンザ シックス(GINZA SIX)の旗艦店も設計しています。
「ピエール ルイ マシア」
あなどってました。2007年設立のスカーフブランド「ピエール ルイ マシア(PIERRE LOUIS MASCIA)」が初のショーを「ピッティ」で披露する。その前情報だけでショーに臨んだところ、冒頭には体をスカーフで覆ったダンサー8人が登場するではないですか。出た、コンテンポラリーダンス。そして約10分間の長い演舞が続き、これはマズいかもなと予感したところで本編がスタートします。究極をいえばスカーフをデイリーウエアに用いただけなのですが、柄のバリエーションと独特な色彩感覚が美しく、どんどん引き込まれます。民族衣装のように繊細であり、バロック・ロココの豪華な装飾性を柄と色使いで表現し、スポーティーなブルゾンやショーツといった日常着に落とし込みます。スカーフをフリンジ調にしたテクニックは圧巻でした。ショーをするにはバリエーション不足ではあるものの、美しいものはシンプルに人の心を引きつけるのだと認識したショーでした。