【毎日書評】「いつも時間がない…」から解放される、スケジュールの組み立て方
『無駄をスッキリさせて、人生の質を高める 時間デトックス』(吉武麻子 著、日本実業出版社)の著者は「タイムコーディネーター」。聞きなれない名称ですが、 “時間の専門家”として、自分の心地よさを大切にしながら「夢ややりたいこと」を叶えていく“時間をコーディネートする生き方”を伝えているのだそうです。 やりたいことはたくさんあるのに、「目の前のことをこなすだけで時間が過ぎ去ってしまう」というようなことはよくあるもの。しかし、それは純粋にもったいなことです。ところが自分を奮い立たせてなんとかしようとしても、なかなかうまくいかないものでもあります。しかも無理をしすぎると、心や体に悪影響が出てくる可能性もありそうです。 そこで私が提案しているのが、自分の人生をデザインする「タイムコーディネート」の考え方です。今という時間の積み重ねが、自分の人生をつくっていきます。つまり、「人生のデザイン=時間のデザイン」といえます。時短・効率化に重きを置く前に、自分がどんな人生を生きたいのかを描き、時間を自分の「心地よさ」でコーディネートしていくのです。(「はじめに」より) ここでいう「心地よさ」とは、「楽をする」という意味ではないようです。自分の心に正直に、心地よいと思うことにのみ時間を使っていくということ。その「心地よい」にはチャレンジをすることも含まれているからこそ、自分の心地よさを大切にできれば、より軽やかに未来を切り拓き、より豊かな人生をつくっていけるというわけです。 誰かの時間術をそのまま真似しても、自分が心地よいとは限りません。 自分の時間は自分でコーディネートしていくしかないのです。(「はじめに」より) こうした考え方に基づく本書の第3章「デトックス① 捨てる」のなかから、きょうは「『時間がない! の焦り』を捨てる」という項目に焦点を当ててみたいと思います。
「見積もりが甘い」から焦る
「時間がない」ことの最大の原因は、やることの詰め込みすぎ。そればかりか多くの人が、実際にかかる時間よりも少ない見積もりで計画を立て、「終わらない!」と時間に追われてしまう状況を自分でつくり出していると著者は指摘しています。 それ以前に、時間を見積もってすらいない人もいるはず。しかし見積もらずに着手しはじめると、想定以上に時間がかかり、締め切りに間に合わないというような事態が起こって当然です。 “なんとなく”程度の感覚で、「これくらいかかるだろう」と時間を見積もっている人も同じ。時間の見積もりが甘いと、予定がどんどん押していき、時間に追われる状況になってしまうわけです。 人は時間を見積もる際、不測の事態が起こらないことを前提として、自分のベストな状態を想定しながら設定するもの。しかし、急な電話対応が必要になったり、体調を崩したりするなど、予想もしていなかったような事態が起こることは決して珍しくありません。 そのため、やることひとつひとつに、どれだけの時間がかかるのか予測し、見積もる習慣をつけることがまず重要。さらに、その見積もり時間をできるだけ正確にしていくことが、時間に追われる焦りからの解放につながるのだといいます。 では、具体的にどうすればいいのでしょうか。 まずは1週間、何にどのくらい時間がかかっているか、ログ(記録)をとってみてください。「毎日、すべてのタスクのログをつけなければ」と思うと窮屈になるので、気づいた時だけで大丈夫です。実際にかかった時間を記録していきましょう。 その後は、そのログをもとに、やることの見積もり時間を出していきましょう。(85~86ページより) もちろん、同じタスクでも状況や環境によって、かかる時間には差が生まれます。しかし、目的は1分のズレもなく正確な見積もり時間を出すことではありません。「いつもだいたい、このくらいの時間がかかるのだな」と、平均値を出すようなイメージでかまわないということです。(84ページより)