なぜアーモンドアイは安田記念で8冠挑戦に失敗したのか…考えられる3つの敗因
芝G1の7冠馬は、「皇帝」シンボリルドルフを筆頭に、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ウオッカ、キタサンブラックの名馬5頭である。シンボリルドルフは海外で8冠目に挑戦して敗れたが、その「呪い」を解く馬は、依然として出現していない。 余力を残したまま4歳で引退したディープインパクトをはじめ、ほとんどの馬が競走キャリアの最後でシンボリルドルフに並ぶ7勝目を挙げている。その“皇帝超え“を狙ってG1を走ったのは、テイエムオペラオーだけ。テイエムオペラオーには、8冠のチャンスが4度あったが、宝塚記念、天皇賞・秋、ジャパンカップでは、ライバルの逆襲や新興勢力の台頭にあい、すべて2着に惜敗した。ただ、もう6歳馬。力の衰えは明らかだった。ラストランの有馬記念では1番人気に支持されたが5着と力尽き、世代交代を許している。8冠達成のためには時間との戦いもあるのだ。 ただ、これでアーモンドアイの8冠への挑戦は終わったわけではない。アーモンドアイの今後は宝塚記念には向かわず、夏場はリフレッシュされ、秋のG1戦線を目指す予定だ。「秋があるから」と国枝調教師も気持ちを切り替えた。 このまま順調に行けば、天皇賞・秋(11月1日、東京)からジャパンカップ(11月29日、東京)のパターンが最有力。8冠超えの記録だけを狙うのならエリザベス女王杯(11月15日、阪神)での一発勝負という手もあるが、陣営に、その選択肢はないという。 そして12月27日の有馬記念にアーモンドアイの名前があるのか、どうか。うまくいけば、8冠偉業の達成どころか、10冠達成の可能性も残っている。この秋、安田記念の教訓を胸にアーモンドアイは、シンボリルドルフの「呪い」を解くことができるのだろうか。 最後になったが、勝ったグランアレグリアは、桜花賞を制覇するなどルメール騎手のかつてのパートナー。昨年のNHKマイルカップでは1番人気で4位入線しながら5着に降着となったが、ハマったときの爆発力は超一流だ。 3コーナーすぎで、めくれた芝の塊を顔に受け、右目を腫らしながらも、めげずに勝利に導いた池添謙一騎手は、「直線を抜け出してからも踏ん張ってくれた。必死で追っていたので、どれくらい差がついているのか、アーモンドアイが来ると思っていたので、ずっとヒヤヒヤだった。アーモンドアイだけでなく、今日の凄いメンバーの中で勝てたことで、この馬の価値が上がった。僕の仕事はしっかりできたと思う」と満足そうだった。 ルメール騎手は、池添騎手に腫れた目を冷やすためのアイシングの氷を手渡して、「あの馬が一番怖かった」と、ひとこと。これもまた競馬だ。