なぜアーモンドアイは安田記念で8冠挑戦に失敗したのか…考えられる3つの敗因
加えてゲートが開いた直後の出遅れも響いた。3着に沈んだ昨年の安田記念も同じミスをしでかしていた。ただ、昨年ほどの致命的なロスではなかったが、記録のかかった大一番で、ゲート難の癖が出たのである。タイミングが合わず、前にのめるようなスタートで、半馬身ほど遅れた。牡馬のトップマイラーを相手に、この差は大きい。すぐにリカバーしたが、ここで脚を使ったことが最後の直線で末脚がキレなかったことにつながったのかもしれない。クリストフ・ルメール騎手は、レース後、こう振り返った。 「スタートは良くなかったけれど、道中はスムーズでした。勝ち馬の後ろにつけ、いい形で直線を向いた。脚は使っている。でも、本来の彼女なら、もっといい脚を使えたはず。コンディションは良かったが…」 8冠に挑む最強馬へのマークもきつかった。 ペースそのものは、前半800mの通過が45秒7の平均ペース。グランアレグリア、インディチャンプをマークする形での中団追走は悪い形ではなかったが、終始ペルシアンナイトに蓋をされる形となり、プレッシャーを受け続けた。 馬なりで楽に4番手をキープしたヴィクトリアマイルとは明らかに違う展開。メンバーが強化されているから、マークがきつくなったのは、当然と言えば当然だろう。それでもアーモンドアイならはね返せると思ったが、突き抜ける力は残っていなかった。 管理する国枝栄調教師も「ちょっとゲートで気持ちが高ぶるところがあって、タイミングが合わないとスタートで遅れることがある。ポジションは悪くなかったと思うが、しまいの脚が使えなかった。負けるシーンは想像していなかったので、ため息しか出ない」と落胆の表情だった。 そして、レース前から懸念されていた初の「中2週」の強行ローテーションも結果論で見れば響いたと考えるしかない。追い切りを見る限り、肉体面での極端な反動はなかったにしろ、精神的な部分で影響があったかもしれない。国枝調教師も「こればっかりは何とも言えないが、表向きは何ともなくても影響したのかな…」と振り返った。