幼い時は氷上で転びギャハギャハ笑ってた坂本花織、集大成の五輪「金」へ…好きな言葉は「爆笑」
いつも先生に言われるのは、「人と戦わず、自分と戦いなさい」。過去の自分に勝てば、いい演技ができます。14年、ジュニアの大会に強いロシア選手が出ていて、「絶対に負かしてやる」と挑みました。相手のスコアを意識して「自分ならこの位置につけられる」と考えていたら、フリーでジャンプのミスを連発して、7位。初めて試合後に泣きじゃくりました。思い返せばショートプログラム(SP)から相手ばかりを気にしていました。「他人と戦うな」の言葉が心に刺さりました。
五輪初出場の18年平昌(ピョンチャン)大会での個人6位は「よく頑張ったで賞」です。当時はシニアに上がったばかりで、五輪前の代表選考の報道で自分の名前がないこともあり、「私もいるよ!」と悔しかった。でも、前だけを見て突っ走ればよかった。北京五輪は「選ばれたらいいな」の平昌とは違い、演技の質を上げて臨んだ大会でした。世界で戦う自信もありました。
26年五輪は出場できれば集大成になります。今の自分としっかり向き合い、最高の自分になる舞台。それに向かって「本当にやり切った」と思えるように毎日を過ごすことが、今の目標です!
揺るぎない信頼関係
ハードな練習中も中野コーチとのやり取りは絶妙で、息の合った漫才のようだ。「いつ(次の練習の)準備できるんですかね」(中野コーチ)「(苦しくて)ちょっと待って……」(坂本)「待てません。はよ動いてください」(中野コーチ)。揺るぎない信頼関係があるから、空気は和み、むしろ活気が増す。「好きな言葉を」と記者が渡した色紙に「爆笑」としたためた。最後に大きく笑うために、二人三脚で突き進む。(岡田浩幸)