ブライトン・ライダーS510インプレッション 高機能サイコンの生き残る道|Bryton
ブライトン・ライダーS510インプレッション 高機能サイコンの生き残る道|Bryton
気鋭のサイクルコンピューターメーカー、ブライトンが高機能モデルのライダーS510を発表した。画面が大きくなり、稼働時間が長くなり、ソフト面でもアップデートされた注目作である。レビューするのはジャーナリストの安井行生。デジタルデバイスにはさほど明るくないというが、ならではの視点で現代のサイコンを考えた。
不相応なレビュー依頼
性能やコスパがどうであれ、新製品が発売されればファンが感涙にむせびこぞって購入する、という頂上ブランドがフレームメーカーには存在する。しかしサイクルコンピューターなどのデジタルデバイスの分野では、これを買っておけば安心という定番ブランドはあれど、妄信的なファンが先を争って取り合いをするようなブランドはまだない。新興メーカーが参入しやすい状況であるともいえるが、純粋に価格と機能とサービスで吟味されるシビアな世界であるともいえる。 なんてわかったようなことを書いてみたが、サイクルコンピューターにはとんと疎いままだ。今までずっと、数字に縛られず純粋に走ることだけを楽しんできたから。しかしパワーメーター、コース作成ソフト、GPS(ナビ)などが広く浸透しはじめ、「明日のコースはここからダウンロードしておいてくださーい」なんていう会話が当たり前になってきて、さすがに高機能サイコンがないと楽しみ方が制限されるようになった。数年前、思い切って某定番ブランドのトップモデルを購入し、日々のライドに連れ出している。しかしあまりに機能が多く、使いこなせているかといえば甚だ怪しい。 そんな筆者に、新型サイクルコンピューターのレビューの依頼をしてきたのがバイシクルクラブ編集部である。こんな不適な人選もないと思ったが、輪界で仕事をしている身としてこれを機にサイコンについて勉強させていただこうと、不相応を自認しながらお受けすることにした。対象物はブライトンのライダーS510。 カーナビなどを手掛ける大手GPS関連企業から独立した人物が2009年に設立した台湾メーカー、ブライトン。デジタルデバイスにおける新興メーカーの一つであるが、「自転車用GPSコンピュータ市場のリーディングブランドになる」をヴィジョンに掲げ、プロチームへのサポートも積極的に行っている。ドゥクーニンク・クイックステップ、イスラエル・スタートアップネイション、ワンティ・ゴベール~アンテルマルシェ・ワンティなどの公式パートナーを務め、チーム右京、キナン、ヴィクトワール広島などの日本チームも使用してきた。彼らから機能面でのフィードバックを受けて製品に反映させているらしく、「リーディングブランドに」の目標が口先だけではないことが分かる。実際、本国台湾では市場シェアが40%に達するまでに成長。現在は10モデル近いサイクルコンピューター、リヤビューレーダー、アクセサリ類を販売している。