ハーバード大が注目する地中海式ライフスタイルとは ?/ 世界中の学会や大学を巡る、根来秀行教授の最先端医学リポート
根来教授は2日にわたって登壇。 「私の研究室では、腎臓病と体内時計が深く関わっていることを検証していて、体内時計のリズムが乱れると毛細血管が次第に劣化して血管が詰まりやすくなり、腎機能不全などの障害が起こりやすくなることを明らかにしています。 動物実験では、マウスの体内時計をずらしていくと血管を障害する障害因子が増え、逆に体内時計を物理的に調整したマウスでは動脈硬化など危険因子を減らせることを確認できました。 またミトコンドリアでヘモグロビンの元である『ヘム』が作られる前段階でできる『プロトポルフィリン』という物質が、血管障害因子を減らせることを確認し、プロトポルフィリンを増産して動脈硬化の治療薬の開発につなげています。 さらにプロトポルフィリンは新型コロナウイルス増殖の鍵となる『G4』というRNA構造体を抑えることも私たちの研究でわかってきています。 G4は染色体の末端にあるテロメアの中にも存在してその安定化に関わっていて、以前から着目していたのですが、そうした研究をもとに、ヘムができるところを加速させてプロトポルフィリンをたくさん作って、ウイルスをブロックする方法を考えついたんです。そこから発展して、コロナ治療薬の開発も進めていて、その進捗も発表しました」(根来秀行教授)
《Crete》クレタ島で「地中海健康会議」に参加。長寿食の鍵となるオリーブオイルの抗酸化・抗炎症作用
サンディエゴでの腎臓病学会総会を終えた根来教授は、ボストンにあるハーバード大に立ち寄ったのち、ミュンヘン経由でギリシャ・クレタ島へ。 「第3回地中海健康会議(The Third Edition of the Mediterranean Health Conference)」に参加した。テーマは「クレタ島のライフスタイル – 地中海の伝統と現代の応用(Cretan Lifestyle – Mediterranean Tradition & Modern Applications)」です。
初回は主催であるハーバード大学医学部で開催され、2回目はコロナ下でこじんまりと、3回目となる今回はクレタ島で10月29~11月1日まで開催。上は、第3回地中海健康会議のポスター。 地中海に囲まれた自然豊かなクレタ島で、ヘルシーな地中海料理や伝統的な地中海式ライフスタイルを体験しながら、クレタ島のホスピタリティについて学び、検証する体験型カンファレンスだ。