「投資のリスクをコントロールする4つの方法は?」-③逃げ出さずに時間を味方にして、④先の成長を信じぬく!【連載第5回】
投資のリスクをコントロールするために…
投資のリスクはゼロにはできないけれど、コントロールして最小限に抑えることはできる──そのための方法として、前回は、下ブレを抑える分散投資で「できるだけ負けない工夫をする」ことと、積立投資で「途中で投げ出さない仕組みを作る」ことが大切であるとご説明しました。 【画像8枚】記事中で紹介しているグラフはこちらからチェック しかし、その2つの方法だけではまだ十分ではありません。
その3「不安から逃げ出さずに時間を味方にする」
前回お話した分散投資と積立投資には、実はセットで行わなければならない条件があります。それが長期投資です。「分散と長期はセット条件」──これを常に忘れないでください。 基本的に企業は今日や明日で大変身はしません。しかし中長期的には成長する方向に進み、株価も連動して上がっていく傾向にあります。債券も期間が長いほど、利子が積み上がってリターンは大きくなります。 そもそも積立投資は一括投資と違い、金額を分割して購入するので、ある程度、長期で続けなければ量を積み重ねられません。1年くらいで少し利益が出たからといって、やめてしまうのはもったいない気がします。 連載の第1回でお伝えした通り、複利の効果が出始めるのは5年目くらいから。差が開き始めるのは10年目くらいから。 大きな経済サイクルが動くのは10年程度が節目になることが多いですから、少なくとも10年、できれば20~30年かけて資産を増やしていくのが理想です。 分散投資で下ブレを抑えつつ、長期投資で「不安から逃げ出さずに時間を味方にする」ことができれば、複利の効果が発揮されて増加スピードがしっかり上がっていきます。 分散と長期のセット条件を手軽に実現できるのが、実はNISAやiDeCoです。特にiDeCoは原則60歳まで引き出せないので、感情を排除して長期で持ちやすい仕組みです。
マーケットに居続けることが大事
ここでマーケットに居続けることがいかに重要かを少し付け加えておきたいと思います。ちょっと驚きのグラフを見てください。 グラフは過去10年間(120カ月)の日経平均株価の推移です。①~⑤の赤の縦線は、1カ月の上昇率トップ5のタイミングを示しています。これを見てわかるとおり、株価の大幅上昇は、株式市場が急落した直後のタイミングで発生しがちです。 したがって、もし急落の場面で慌てて売却してしまうと、大幅な反発や戻りを取れない可能性が高く、その後に投資を再開してもリターンが大きく減ることになってしまいます。 たとえば①の場面、10年前の2014年8月に100万円分投資した人が、2015年9月末に急落した17,388円で焦って売却し、それ以上は下がらないのを見て、翌10月末に19,083円で買い直したとします。感情的にはよくありそうな投資行動です。 同様に②~⑤でも、急落ですぐ投資を止めたり、少し上がってきたところで慌てて利益確定をしたりして、「大幅上昇の月」を逃してしまったとすると…? マーケットに居続ければ10年(120カ月)で100万円は約251万円まで増えたのに、120カ月のうちたった5カ月マーケットにいなかっただけで、同じ100万円が約156万円…。ここまで大きな差が出てしまうのです。 マーケットに居続けることがいかに大事か、おわかりいただけるのではないでしょうか。