「凡事徹底」を積み重ねる先に待っていた堂々たる戴冠。「地に足の付いた」大津高校がたどり着いた日本一の景色 高円宮杯プレミアリーグファイナル 横浜FCユース×大津高校マッチレビュー
「実力以上に勝点を序盤で稼ぐことができていましたので、いかに勝負よりもプレーの評価をちゃんと与えていかないといけないかということは、夏のインターハイに負けて凄く感じました。ただ、一方でそのリーグの中心に半年以上い続けられるということは、とても僕らにとっても学びの多い期間でしたし、とにかく大津高校らしさというものを見失わないように、謙虚に、『凡事徹底』ということを頭に入れながらも、あと何試合であと勝ち点をいくつ獲ればと、どうしても計算しがちになるんですけれども、だからこそできることは限られているということを意識して生活してきました」
試合後の会見で、優勝争いを意識せざるを得なかったであろうシーズン後半戦について問われた山城監督は、いつも通りの落ち着いた口調で、いつも通りの地に足の付いた言葉を紡ぐ。五嶋にも同じような質問を尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「まずはWEST優勝をずっと目標にやっていましたし、そこは多少意識はしていましたけど、ファイナルを意識している選手はそんなにいなかったのかなと思います。本当にあまり会話の中で出てこなかったですし、逆にそういうことが良かったのかなと思いますね」。10月の東福岡戦の試合後と同じような言葉が口を衝く。やはり彼らは極めて自然体で、一戦必勝を貫いてきたのだ。
監督就任から数えれば32年目で悲願の日本一へたどり着いた平岡和徳テクニカルアドバイザーは、「本当に若いスタッフと、そして何よりも今日のピッチで最善を尽くしてくれた選手たちのおかげだと思っていますし、この大会にこうやって出られるのは、積み上げてきた先輩たちの継続があってこそなので、あらゆる方々に感謝の気持ちでいっぱいです」と喜びを語りながら、すぐさま来たる次の戦いへと気を引き締める。
「今日勝ったことは素晴らしいことなんですけど、綺麗な満月もまた今日から欠け始めますので、選手権に向けて素晴らしいものを作り上げられるように頑張りたいと思います」。稀代の名将が口にしたこの金言こそが、彼らのサッカー人としての在り方を過不足なく表しているのではないだろうか。
【関連記事】
- あと一歩で届かなかったタイトル。それでも柏レイソルU-18の3年生たちがサッカーと生きる旅はこれからも続いていく 高円宮杯プレミアリーグEAST 川崎フロンターレU-18×柏レイソルU-18マッチレビュー
- 後半戦初勝利か!逆転優勝か!最終節!ナクスタ決戦! 大宮アルディージャU18×横浜FCユースマッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグEAST第22節】
- 4チームが味わえる昇格の歓喜を目指して 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ プレビュー
- 保土ヶ谷に響いた歓喜の手拍子と歌声。崖っぷちから這い上がった横浜FCユースが纏う絶対的一体感 高円宮杯プレミアリーグEAST 横浜FCユース×鹿島アントラーズユースマッチレビュー
- 危機感を結果に変えた才気あふれるナンバー10。流通経済大柏高校・柚木創はピッチにファンタジーの魔法をかけ続ける 【NEXT TEENS FILE.】