「凡事徹底」を積み重ねる先に待っていた堂々たる戴冠。「地に足の付いた」大津高校がたどり着いた日本一の景色 高円宮杯プレミアリーグファイナル 横浜FCユース×大津高校マッチレビュー
今季のプレミアWEST制覇の大きなヤマは、間違いなく第12節延期分のヴィッセル神戸U-18戦だろう。リーグ戦9連勝を成し遂げ、猛追してきた2位の神戸U-18との勝点差は7。残り試合を考えても、勝利すればほぼ優勝は決まるものの、負ければ一気に視界が曇り始めるような重要な一戦だったが、その1週間前のゲームで東福岡高校相手に勝利を収めた試合後、キャプテンの五嶋夏生が発した言葉を思い出す。
「次の神戸戦に勝てばいよいよファイナルが見えてくるという中で、この東福岡戦も負けたら苦しくなりますし、チーム全体もここを勝つという意識でこのゲームに臨んだので、今日も朝から移動してきましたけど、神戸戦の話が出ることもほとんどなかったですし、このゲームに集中して臨めたのかなと思います」。彼らは極めて自然体で、一戦必勝を貫いてきた。神戸U-18との決戦は5-0の完勝。今年の大津は、いつだって強かった。
EAST王者の横浜FCユースと埼玉スタジアム2002で向かい合ったプレミアリーグファイナル。「硬い試合になるだろうという想定はしていたんですけど、それ以上に硬いゲームになって、なかなか入れたいところにボールは入らないですし、ゴール前でもボールが収まらない時間が続きました」と山城監督も振り返ったように、決して思い描いていたような試合展開ではなかったが、スコアは“意外な伏兵”の一撃で動く。
45+2分。ゴールまで30メートル近い位置から畑拓海が右足を振り抜くと、大きくブレた無回転ミドルはGKも反応できず、ゴールネットへ突き刺さる。「いやあ、初めて見ました(笑)。でも、あのシュートは畑の強みの1つだと思うので、決めてくれて良かったです」と笑ったのは五嶋。リーグ戦では無得点だったプレーメイカーの先制点。大津は最高の時間帯に1点のリードを奪う。
WEST王者にはツキもあった。後半開始早々には2度の決定的なピンチを迎えたが、1度目は相手のシュートミスに、2度目はゴールポストに救われる。すると、輝いたのはリーグ得点王のストライカー。76分に野口の右クロスに山下景司が完璧なヘディングで合わせて2点目を叩き出すと、90+3分にも再び山下がGKの位置を見極め、40メートル級のロングシュートでダメ押しの3点目。終わってみれば3-0というスコアでの快勝。キャプテンの五嶋がカップを掲げ、大津はとうとうプレミアリーグの頂点に立った。
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