なぜ同じ過ちを繰り返す…戦争やテロのない平和な世界を実現する4つの条件
平和な世界実現の4つの条件
いずれにせよ、この問題は、マクロに見ると制度やイデオロギーの問題ですが、ミクロに見ると心の問題であるということができます。 さて、「どうすれば戦争やテロの起きない平和な世界を実現できるか」について考えてみました。以下の4つがその条件です。 (a)まずは、すべての国が民主化されていること (b)人類全体の民度(人々の知的水準、教育水準、文化水準、行動様式などの成熟度の程度)が十分に高いこと (c)できれば国家を廃止して世界国家のみによる統治とすること (d)国家軍は廃止して世界軍(世界警察)のみにすること
どこまで民度が高ければいいのか
まず、(a)。専制政治や独裁国家が存在しているうちは、世界平和は難しいですよね。少なくとも国家間の信頼関係が築かれていないと、恒久的平和は実現できないでしょう。 そういう国とも戦略的互恵関係を築いて世界秩序を維持する、という考え方はもちろん対処療法としてはあると思います。しかし、対処療法だと、いつか均衡状態が崩れたときに、また不安定になります。世界はこれまでこれを繰り返してきました。私がここで論じたいのは、そのような過ちを繰り返さない世界です。みんなの安心できる世界平和です。そんな理想は人類には無理なのかもしれないのですが、無理かどうかは考えてみないとわからないのではないか。だから、考えてみよう、というわけです。 というわけで、まずは、自分勝手な国がいないこと。そのためには、すべての国家が民主化されていること。民主化されていればいいかというと、選挙の結果とんでもないトップが選ばれたりすることもあるので、そうとも言えないのですが、しかし、少なくとも民主化されていないと話は始まらない、という意味です。要するに、自分のことしか考えない国がないことが前提、というわけです。 次に(b)。人々の民度が高いこと。(a)は国家レベルでしたが、(b)は個人レベルで、ある一定以上に自分勝手な人がいないということです。どこの国でも一定数の犯罪が起こります。犯罪を起こしてしまう人が一定数はいるということです。 日本のように、法律や警察の力も駆使して、法治国家が成立していると安心ですよね。そういう国家の統制も大切ですが、首相や大統領を選挙で選ぶ際に、変な人を選ばないためには、過半数の人が常識的な価値観を持っていることが重要だと思います。もちろん、選ばれる人も当然ながら自分のことばかりではなく国民みんなのこと、そして世界のみんなのことを考える人を選ぶべきですよね。 ではどこまで民度が高ければいいのかというと、例として現代の日本人くらいでしょうか。日本国内には残念ながら犯罪はありますが、それは警察などの力によって抑止され安全が維持される範囲内には留まっています。ですから、大雑把にいえば、世界中の人の民度が日本人くらいになればけっこういけているのではないかと思います。 次に、もう一度国家に話を戻しましょう。現代の国家というのは、民主国家でさえも、ある程度自分勝手です。基本的に、現代の国家は、世界のことよりも自分のことの方を優先するシステムです。さらには、自分のことしか考えないようにもなりえます。ですから、国家というシステムは本当はやめたほうがいいですね。(c)に書いたように、できれば国家も廃止して世界国家のみによる統治ができるといいですね。 ジョン・レノンがImagineという曲の中でImagine there’s no countriesと歌ったように。あるいは、地方選挙で選ばれた政治家が地方の奉仕者ではなく全体の奉仕者と定められているように、国家のトップも本来は世界の奉仕者となるべきですね。残念ながら現代社会はそうなっていませんが。 世界を統治する世界連合のようなものができたとして(たとえば国際連合の機能が強化されたとして)、そこが腐敗したらどうするのだ、という議論もあるでしょう。当然ながら、それはあってはなりません。やはり(b)で述べたように世界人類の民度が高いことがきわめて重要です。 そして、(d)。これも当然ながら、各国軍なんかがあるから国家間の戦争が生じてしまうのですから、国家軍は廃止して世界軍ないしは世界警察しかない世界になるべきだと思います。もちろん、テロや犯罪が起きないように、各国警察や世界軍の支部のようなものは世界中で十分に機能している必要があります。それから、世界軍ないしは世界警察が腐敗することは決してないように設計されるべきですね。 以上、特に難解なところはありません。今の平和な日本の内部でできていることを、世界に拡張するだけです。世界が日本のように平和なひとつの国家だったら。戦争のない世界は実現できます。 実現できない理由は、民主化されていない国や、自分勝手で民度の低い人が、まだ世界中にたくさんいるからです。つまり、世界の安定のためには、上に書いた(a)から(d)を最優先させるべきだと思います。