人の反応より早く推論 走行中のレースカーから順位をリアルタイム予測する“超低遅延AI”
ノーチラス・テクノロジーズとさくらインターネットおよび日本レースプロモーションは、走行するレーシングカーの車載データを利用した“超低遅延AIシステム”の実証実験を実施したことを発表した。 【もっと写真を見る】
ノーチラス・テクノロジーズ(ノーチラス)とさくらインターネットおよび日本レースプロモーション(JRP)は、2024年12月12日、走行するレーシングカーの車載データを利用した“超低遅延AIシステム”の実証実験を実施したことを発表した。 実証実験は、2024年11月8日から9日に鈴鹿サーキットで開催されたスーパーフォーミュラ「Rd.8-9」のレース中に実施。レーシングカーの車載データを取得して、AIで「ラップタイム」や「レース順位」をリアルタイムで予測することに成功したという。 走行中のフォーミュラカーのテレメトリデータを、さくらインターネットのクラウドインフラ「高火力コンピューティング」上で稼働するノーチラスの次世代データベース「劔“Tsurugi”」で、機械学習の処理を実行するという構成をとっている。 システム上のパフォーマンスは、テレメトリデータに適切な前処理を施して、かつ一貫性を担保した状態での永続化の書き込み処理を5ミリ秒で行い、同時にAIの推論処理を5ミリ秒から20ミリ秒程度の時間で実行する。 なお、このスピードでの処理を実行するためには、従来、端末側に特殊なチップを組み込むなどの対応が必要となるが、実証実験ではチップを組み込んでいない。データ処理も標準SQLで実装するなど、従来のオープンアーキテクチャの範囲で高いパフォーマンスを維持しているという。 実証実験の結果により、光通信インフラ上での分散情報処理にかかる知見、実運用を見据えた信頼性を確認できたという。将来的には、本システムによって、より高度な戦略を駆使したレースの実現であったり、エンターテイメントとしてのフォーミュラレースの盛り上がりに寄与することを目指していく。 加えて、IoT分野における人間よりも速い反応を返すM2Mの機械学習など、他分野へのシステムの提供も視野に入れているという。 文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp