流通経済大入学当初は"7軍相当"、日本代表合宿への参加を機に、浦和レッズ内定「プロはゴールでなく、スタートライン」
「プロはゴールではなくスタートライン」
気づけば、プロ注目のタレントに成長し、計9クラブからオファーが届いていた。最終的に浦和と鹿島アントラーズに絞り、熟考した末に多くのOBが在籍するクラブを選んだ。キャンプに参加し、ベテランの宇賀神友弥、安居らの話を聞いたことも大きかったという。先輩たちの人間性にも惹かれたのだ。 「チームの雰囲気が良くて、ここに入れば、自分のプレーを出せるな、と思いました。そして、何よりもレッズのサポーターに魅力を感じました。実際、埼玉スタジアムに足を運んで実感しました。熱量はアジアでも一番なのかなと。僕もあのピッチでプレーしたいと思ったのは大きかったです」 ただ、タレント軍団の浦和で新人がレギュラーを獲得するのは簡単ではない。大学サッカーは残り約2カ月。中野監督もプロを見据え、夏以降は根本をあえて厳しく指導している。 「現状のままでは、浦和で試合に出場できないと思います。それは本人にも正直に伝えているんです。あと1ランク、2ランクはレベルを上げさせて送り出したい。伸びしろはありますからね」 本人もJ1でのプレーを念頭において努力を惜しまない。浦和の現状もチェックしており、センターバックのポジションが手薄になっていることも頭に入っている。自らに言い聞かせるように決意を口にする。 「プロはゴールではなく、スタートライン。少しでも早く試合に出場できるようにしたい。チャンスを生かす、生かさないかは自分次第です」 力のこもった言葉には、あふれる意欲がにじむ。試合後、ジャケットを着込み、バスに乗り込んでいく大きな背中には、プロ内定選手の風格が漂っていた。
杉園昌之