パソコン通信「NIFTY-Serve」「AOL」の普及とインターネット商用化解禁[第1部 - 第5話]
アメリカでインターネットの商用利用が解禁に
佐藤:その頃アメリカでは、1991年3月にインターネットの商用利用が解禁されていました。当時、友達がゴルフボールを打ちながら、「世界中がつながっているネットワークがあって、それを使っていろいろな取引をしている人たちがいるらしい」と話していて、「すごいことになっているな」と感心したのを覚えています。どうすればそんなことができるのか疑問でしたが、後にインターネットの存在を知って納得しました。その後はNIFTY-Serveが提携していたアメリカのパソコン通信「CompuServe」経由でインターネットに接続していたのですが、この時点ではそれ程利用してはいませんでした。
しかし、ブラウザの「NCSA Mosaic」が登場すると状況は一変しました。ブラウザでテキストと一緒に画像が表示できるようになり、衝撃を受けましたね。社内で局長に、「この画像データは今フランスにあるんですよ」と説明をすると、みんなが驚いていました。ただ、回線の速度やコンピューター自体の処理能力が低かったので、画像がすべて表示されるまでには相当時間がかかりましたね。この時から、これは大変なメディアになっていくだろうという確信めいた思いを抱くようになりました。
杓谷:「Mosaic」は、イリノイ大学の米国立スーパーコンピュータ応用研究所(NCSA)が開発したブラウザで、テキストと画像を同じウインドウ内に表示できる初のブラウザでした。それ以前は、テキストと画像は別々のウインドウで表示されていたようです。
1993年、雑誌『WIRED』がアメリカで創刊
佐藤:インターネット解禁の影響で、1993年に雑誌の『WIRED』がアメリカで創刊しました。雑誌の名前は直訳すると「配線された」という意味で、インターネットでつながれた世界を前提にした社会を考察していくという内容でした。 早速英語版の創刊号を手に入れて読んでみると、まず目に飛び込んできたのが「@」という記号で、「このマークはなんて読むんだ?」と思いました(笑)。「@」が「アットマーク」という名前であることも、当時は一般に知られていなかったんです。