パソコン通信「NIFTY-Serve」「AOL」の普及とインターネット商用化解禁[第1部 - 第5話]
杓谷:「Power Macintosh」は、Apple、IBM、モトローラの三社が共同開発した「PowerPC」をCPUに採用した高性能なMacですね。「PowerPC G4」を搭載した機種からは「Power Mac」と改称されました。 佐藤:Appleのオリエンテーションに参加すると、開発のロードマップを一般に先駆けて公開してくれました。「OpenDoc」や「QuickTime」の新バージョンの公開予定日が資料に書いてあるのです。僕は普段から『MacWeek』などのMac雑誌を読んでいたので、それを見ただけで「お~っ!」と大興奮でした。そのオリエンテーションを聞けただけでもう大満足! みたいな(笑)。他の会社の参加者も似たような方が多く、Appleへの出入り業者同士で仲良くなってしまいましたね。
スティーブ・ジョブズに傾倒する
佐藤:この頃のAppleでは、スティーブ・ジョブズはすでに退いており、CEOがジョン・スカリーからマイケル・スピンドラーに代わる時期でした。僕は『MacWeek』を読みながらAppleの歴史的な経緯などを勉強していたのですが、次第にAppleの個人をエンパワーメントしようとする姿勢に強く惹かれていきました。この頃の僕は、スティーブ・ジョブズに傾倒していましたね。 当時、AppleとMicrosoftがグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interfaceの略、以下GUI)搭載のコンピューターの覇権を争っている真っ最中でした。その頃の僕は、Macの美しいGUIに比べると、WindowsのGUIは見劣りしているように感じ、個人的にはMacの方が圧倒的に完成度が高いと思っていました。
にもかかわらず、WindowsとMacのシェアは8:2ほどで圧倒的な差がありました。本物のヒッピーがビジョンを掲げ、世の中を変えようとしている一方で、若い頃のナードなビル・ゲイツが邪魔をしているように見えて、大嫌いでしたね(笑)。「アラン・ケイのGUIを正当に引き継いでいるのはやっぱりスティーブ・ジョブズだ! ビル・ゲイツめ、見せかけのGUIを作りやがって!」という感じで、まさに若気の至りでした(笑)。