1秒差の大接戦を制した旭化成、ニューイヤー駅伝5年ぶりV奪回へ 2位の黒崎播磨も初の3位以内に好感触【九州実業団駅伝レビュー】
今大会の距離はニューイヤー駅伝の100kmより11km短い。だが2区が最長区間でエースが登場し、3区がスピードのあるエース級が走り、5区が後半の流れを決める重要区間、という区間編成は似せている。今大会の黒崎播磨は2区・田村友佑(25)、3区・細谷恭平(29)、5区・土井大輔(27)で、田村が区間3位で2位に上がると、細谷も区間2位で2位をキープ。土井も区間2位だったが、トップの旭化成と1秒差でマッチレースに持ち込んだ。 「田村は9月のベルリン(2時間07分38秒=19位)、細谷は10月のシカゴ(2時間07分20秒=6位)を走ったばかりでした。土井を2区に起用することも考えましたが、土井も12月のマラソンに向けて練習していて、少し動きが悪かったので5区に起用しました」と澁谷明憲監督。 ニューイヤー駅伝も21~23年は、この3人が主要3区間を走ってきた。24年は新人の福谷颯太(24)が成長し、5区を任せることができた。外国人選手のシトニック・キプロノ(22)も強く、黒崎播磨はインターナショナル区間の4区で3位に浮上。5区の福谷、6区の田村友伸(23)が1つずつ順位を下げたが、7区の土井が1人を抜き過去最高順位の4位でフィニッシュした。 「今回、九州の連勝は止まりましたが、三菱重工が前に行っても、旭化成に中継で先着されても、ずっと近い位置でレースをしました」(澁谷監督) 1秒差は福谷と相澤の「能力の違い」だと言わざるを得なかった。箱根駅伝2区の区間記録を更新した相澤に対し、福谷は箱根駅伝には関東学生連合チームで一度だけ出場(5区で区間10位相当)しただけの選手である。 「負け方としては“良い負け方”だったと思います」 ニューイヤー駅伝の目標は「(過去最高の)3位以内」だと澁谷監督。トヨタ自動車、旭化成、Hondaが3強に挙げられそうだが、その一角を崩す気概を九州大会で強くした。 ■区間賞を2個ずつ獲得した三菱重工と安川電機 九州大会の区間賞は 1区・荻久保寛也(26、ひらまつ病院) 2区・鈴木創士(23、安川電機) 3区・吉岡遼人(26、三菱重工) 4区・キプラガット・エマヌエル(22、三菱重工) 5区・齋藤椋(26、旭化成) 6区・佐藤俊輔(24、安川電機) 7区・相澤晃(27、旭化成)、福谷颯太(24、黒崎播磨)