1秒差の大接戦を制した旭化成、ニューイヤー駅伝5年ぶりV奪回へ 2位の黒崎播磨も初の3位以内に好感触【九州実業団駅伝レビュー】
レースが動いたのは5区だった。旭化成の齋藤椋(26)が区間賞の快走でトップに立った。3km過ぎに並走していた黒崎播磨・土井大輔(27)と三菱重工・守屋和希(22)に追いつき、間もなく守屋が後れ、6区への中継では齋藤が土井に1秒先着した。 トップに立った2人はともに高卒入社の選手。茂木は11年目、齋藤も8年目の叩き上げ選手で、箱根駅伝で脚光を浴びた選手たちとは異なる成長過程で、旭化成の駅伝メンバーに食い込んでいる。 「茂木は元から(10000m27分44秒17と)スピードがあります。年に何度も故障をしてマラソンまでたどり着きませんでしたが、今は長期離脱することがなくなって、マラソンを視野に入れた練習ができています。齋藤は他の選手と一緒に走る練習ができない独特の選手でした。それでもコツコツと続けて、練習のレベルが上がって5月に5000m(13分33秒99)、10000m(28分06秒46)とも自己新を出しました。駅伝が近づいて一緒に走るメニューもやり始めて、今回の区間賞につなげてくれました」 その後は接戦が最後まで続いたが、その一因に風の強さがあった。周回コースの後半、北上する部分が強い向かい風で思い切ったスパートができなかったようだ。それでも最後は、相澤がしっかりと勝ちきり3年ぶりの九州制覇を達成した。 前回のニューイヤー駅伝では主要区間の2、3、5区は大六野、相澤、パリ五輪10000m代表の葛西潤(24)が走ったが、九州大会の走りで齋藤もその候補となった。かつて主要区間で区間賞を取った市田孝(32)も、今季は5月の日本選手権10000m9位など高いレベルで安定している。 17~20年までニューイヤー駅伝4連勝を支えた大六野や市田孝が健在で、葛西、相澤の東京&パリ五輪代表や、茂木、齋藤、前回1区の長嶋幸宝(20)ら高卒選手が加われば、“強い旭化成”の形が再構築できる。 ■2位の黒崎播磨は“適材適所の駅伝”で、ニューイヤー駅伝3位以内に手応え 1秒差で3連覇を逃したとはいえ、黒崎播磨の“適材適所の駅伝”は強さを感じさせた。