親の介護が必要になったら?負担を軽くするコツとトラブル解決策
4.親の介護でありがちなトラブルと解決法
仲のよかったきょうだいでも、親が要介護になると、介護を巡ってトラブルになる可能性があります。以下、トラブルになる原因や回避方法・解決法をご紹介します。 (1)親の介護を誰か一人に押し付ける 親の介護をきょうだいのうち誰か一人に押し付けるとトラブルになる可能性があります。例えば、同居や近隣に住んでいたり、独身のきょうだいがいたりする場合などです。 また、「長男」や「長男の嫁」だから、といった現代に合わない価値観も、トラブルになる可能性があります。その他にも在宅介護か施設介護かなど、きょうだい間での介護方針の違いから揉めるケースもあるでしょう。 ◆家族間で話し合い、役割分担を決める トラブルを回避するためには、家族間でコミュニケーションをしっかりとることが大切です。お互いに相手の家庭環境や経済状況をよく聞き、十分に理解し合いましょう。また、きょうだい間だけではなく、親本人の希望やきょうだいの配偶者にも理解を得ておくことも重要です。 具体的な話し合いの中では、誰が主介護者になり、経済的な援助はどのように分担し、親の財産管理をどうするか、今後の介護方針なども検討する必要があるでしょう。何度もお伝えしていますが、気を付けたいのは一人に「肉体的・経済的・精神的」負担が集中しないことです。 取り決めについては、口頭だけではなく、合意書など書面にすることも、先々のトラブル回避には有効でしょう。また、親の介護に使ったお金は必ず領収書を残し、きょうだい間で共有しておくことが重要です。 (2)親の介護費用を誰が負担するのか 親の介護費用は、原則、親の財産から賄いますが、介護期間が長くなったり、民間サービスなどを利用したりすると、毎月の費用が当初予算より多くなる場合があります。 きょうだい間で平等に親の介護費用を援助できれば問題ないのですが、現実的には、各人の家庭の状況や経済力に違いがあり、資金援助できないなどの場合もあるでしょう。また、親が亡くなったあとの相続トラブルに発展する可能性もあります。 ◆介護費用の軽減制度などを利用する 介護費用が軽減できる制度があります。ケアマネジャーや地域包括支援センターなどに軽減できる制度がないかを必ず確認しましょう。以下、主な制度になります。 ■高額介護サービス費 毎月の利用者負担額の合計額が所得に応じて区分された上限額を超えた場合に、その超えた分が介護保険から支給される。 ■高額療養費 毎月の自己負担額が所得に応じて区分された限度額を超えた場合、限度額を超えた額が高額療養費として支給される。 ■高額医療合算介護サービス費 同じ医療保険の世帯内で、医療保険と介護保険の自己負担が高額になった場合、年間で合算して一定の限度額を超えた分が払い戻される。 ■特定入所者介護サービス費 公的介護保険施設入所者などの人で、所得や資産などが一定以下の人に対して、負担限度額を超えた居住費と食費の負担額が介護保険から支給される。 ※参照:介護サービス情報公表システム|厚生労働省(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html) また、医療費控除、障害者控除対象者認定書などによる税負担の軽減などもあります。自治体独自の制度もあるため、お住まいの自治体に確認することをおすすめします。 (3)一人で抱え込んでストレスによる介護うつや虐待も 「親のために」と頑張りすぎて、精神的にも肉体的にも疲れ果てて介護うつになる場合があります。親の介護を仕事のように考えたり、責任感の強い性格の人などは、ストレスから介護うつや親への虐待など大きな問題へつながる場合もあります。 ◆同じ境遇の仲間がいる「介護者の会」に参加する いま親の介護をしている人やすでに親の介護が終わったOBの人が参加している「介護者の会」「介護者家族会」などがあります。参加することによって、現在、親を介護中の人やOBの人から困ったときの対処法や悩みを聞いてもらえます。 同じ立場の人や経験者だからこそ、分かり合えるものがあります。一人で孤立せずに一度、「介護者の会」などに参加してみるとよいでしょう。いろいろ参考になったり、気持ちが軽くなったりするのではないでしょうか。