親の介護が必要になったら?負担を軽くするコツとトラブル解決策
3.親の介護が必要になったら すぐに始めたい5つのこと
親が要介護になった場合、まずは何をすべきでしょうか。家族での協力体制を作りながら、親の管轄の地域包括支援センターで相談することから始まります。以下、5つのポイントをご紹介します。 (1)家族で協力体制を作る 親を介護するときに大切なことは、家族全員で介護について話し合うことです。決して、同居していたり、住まいが近い子どもだけが、親の介護をするのではないことを最初に必ず話し合いましょう。遠くに住んでいるきょうだいの場合は、帰省する頻度を増やしたり、金銭的な援助をおこなったりすることも可能ではないでしょうか。 また、かかりつけ医やケアマネジャーなどの窓口となる主介護者を決める際も、主介護者だけにすべての負担を押し付けないようにしましょう。経済的な面を含めて、きょうだいで「できること」や「できないこと」をお互いに確認し、一人に負担が集中しないように役割分担をする必要があります。 かかりつけ医やケアマネジャーだけではなく、介護スタッフ、自治体、日頃付き合いのある近所の人、友人、民生委員・自治会、社会福祉協議会などネットワークを積極的に広げることで、肉体的・精神的にも家族の負担が軽減できるでしょう。 (2)地域包括支援センターや市区町村などに相談する 親の住んでいる地域を管轄している「地域包括支援センター」や「市区町村の介護保険課の窓口」で、介護保険の利用などを相談します。要介護認定の申請は、親本人だけでなく子どもなどの家族も代行申請できます。 以下、申請時(第1号被保険者の場合)に必要な書類などになります。 ●介護保険要介護認定・要支援認定申請書 ●介護保険被保険者証 ●主治医の氏名・医療機関名・所在地・電話番号(診察券など) ●マイナンバーの確認ができるもの 本人、または家族の申請が難しい場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所、介護保険施設などのスタッフが代行することも可能です。なお、本人以外の人が申請する場合は、代行する人の身分証明書や委任状などが必要になりますので、事前に自治体に確認しましょう(参照:申請から介護サービスを利用するまで|豊島区 https://www.city.toshima.lg.jp/194/kenko/kaigo/kaigo/riyo/001087/index.html)。 (3)訪問調査を受ける 要介護認定申請後は、訪問調査を受けます。調査員から事前に連絡があり、訪問日時を決めます。調査にかかる時間は、30分~1時間程度です。 調査内容の概略は、「身体機能・起居動作について」「生活機能について」「認知機能について」「精神・行動障害について」「社会生活への適応について」「特別な医療について」になります(参照:認定調査員テキスト2009改訂版〈令和6年4月改訂〉 p.164|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/001249525.pdf)。 認定調査のときには、介護をしている家族が必ず立ち合い、正確な情報を調査員に伝えることが大切です。親の介護を通じて日頃気付いたことや困ったことなど、どんな些細なことでも積極的に伝えましょう。また、事前に気付いたことをメモに取っておけば、伝え忘れを減らせます。 (4)認定を受けた後に、ケアマネジャーを選び契約する ケアマネジャーは、ケアプランの作成、サービス事業者との連絡・調整などをおこなっており、利用者や家族にとって最も身近な相談窓口になります。 ケアマネジャーは、今後、長い付き合いになるパートナーなので、選ぶ際には、かかりつけ医や看護師などに評判を聞いたり、実際にサービスを利用している友人などからも情報を集めたりして、信頼できる人を選びましょう。 なお、要支援1・2の人は地域包括支援センター、施設入所の場合は、施設のケアマネジャーに依頼することになります。ケアマネジャーはいつでも変更できますが、介護がスムーズにできるよう慎重に選ぶのが賢明です。 (5)ケアプランの作成・サービスの利用を開始する 介護保険サービスは、要介護認定を受けただけでは利用できません。要介護認定を受けたら、次はケアプランの作成です。ケアプランは、ケアマネジャーが利用者本人や家族と直接会って話を聞き、作成します。面談時には、本人や家族の要望を遠慮せずにケアマネジャーに伝えることが重要です。 例えば、「親本人の心身の状態」「どんな介護サービスが受けたいか」「介護における家族間での協力体制」「親本人や家族の希望する生活のあり方」「介護費用に使えるお金(予算)」などです。 面談後、ケアマネジャーが本人や家族の要望を踏まえケアプランを作成します。ケアプランの作成料は無料です。問題がなければサービス事業者と契約して、ケアプランの内容に基づいて介護サービスが始まります。 なお、要介護認定は、利用者本人の心身の状態の変化に対応するために、原則として一定期間ごとに見直されます。 ◆介護保険サービスを利用する手順 ①申請する 地域包括支援センターまたは市区町村の窓口で申請する。 ②要介護認定が行われる 訪問調査を受ける。 ③認定結果の通知 原則として30日以内に認定結果通知書と結果が記載された保険証が届く。 ④ケアプランの作成 どのようなサービスをどのくらい利用するのかというケアプランや介護予防ケアプランを作成する。 ⑤サービスを利用する ケアプランや介護予防ケアプランに基づいてサービスを利用する。利用料は、サービスにかかる費用の1割~3割。 ⑥更新 認定の有効期間は原則として、初回は6カ月、更新は12カ月。