「優秀な部下を異動で手放したくない」→上司の「あるある悩み」をキャリアのプロがバッサリ!
マネジャーとしての大きな悩みの一つは、メンバーとの関わり方だろう。マネジャーの中にはメンバーの欠点ばかりが目に入ってしまい、人間関係にヒビを入れてしまう人もいる。しかし、相手の弱みよりも強みを見つけることができればメンバーの成長をグッと促すことができるのだ。『強み』を生かして成果を上げるマネジメントの5つのコツをご紹介する。※本稿は、大久保幸夫『マネジメントのリスキリング――ジョブ・アサインメント技法を習得し、他者を通じて業績を上げる』(経団連出版)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 人の弱みがまず目に入る人は 良い人間関係を築くことが難しい マネジャーの中には、メンバーの欠点ばかりが気になって、不満を募らせてしまう人もいる。これではマネジャーもメンバーも幸せにはなれない。人は誰しも強みと弱みの両方を持っているので、強みを先に見つけることができるか、それとも先に弱みに目がいってしまうかは、大きな分岐点だ。 マネジメントの話に限らず、一般的に、先に強みを見つける習慣を身につけた人は、人間関係を円満にすることができるものだ。後から弱みを見ても、強みを知っているから許すことができる。反対に、先に弱みに目がいってしまう人は、その人に対して否定的な感情から入るので、良い人間関係を築くことが難しい。 ある程度の年齢になると、弱みは直らないものだ。強みと弱みは表裏一体のようなもので、どちらも個性であるから、弱みを無理やり直そうとすると、強みまで壊れてしまう。同じエネルギーをかけるならば、弱みを直すよりも強みを磨くことに集中した方がいい。それがキャリアの基本戦略といわれるゆえんである。 ● マネジャーがすべきこと(1) 強みを言葉にして伝える そこでまず「強みを言葉にして伝えること」にチャレンジしてみよう。人はそれぞれ、自分がどのような強みを持っているかはなんとなくわかっているものの、言語化できていない人が多いものだ。その時に信頼できる上司から、「あなたのこの部分はとても素晴らしい。価値がある強みだと思うので、その強みに磨きをかけてください」と言われれば、そこからキャリアデザインがスタートするに違いない。 注意するところは、その人の全体を見て、仕事の成果を上げるうえで価値があると考えられる一番の強みを見つけてあげること。もしも心もとなかったら、そのメンバーとともに働く周囲の人々の意見も聞いてみるとよい。強みは日常的に発揮されるものなので、長い間一緒に働いている人には共通理解になっているはずである。 強みには、知識や技術・技能などの専門スキルもあれば、良い仕事をするうえでの行動習慣もある。どちらでも構わない。 メンバーの強みをしっかり言語化しておくと、査定会議や人材開発委員会などの場で話す時にもうまく伝えることができる。