日産ディーラーの悲鳴 マーチ消失で、現場から「国内向けモデル必要」の声! 車種削減と販売低迷の現状とは
営業利益90%減少の衝撃
日産自動車は11月、2023年4月から9月までの中間決算で、米国市場での販売不振などの影響を受け、営業利益と最終利益が90%以上減少したと発表した。この結果、同社は世界規模で生産能力を20%削減し、9000人の人員削減を行うことを決定した。 【画像】「えぇぇぇぇ!」これが日産自動車の「平均年収」です! 画像で見る(12枚) 減益の主な要因は、販売台数の増加を狙って販売奨励金を増額したことに加え、現地市場で需要の高いハイブリッド車が不足している点だ。特に国内市場では、この問題が顕著に表れている。 現在、国内市場における日産車のラインアップは非常に限られており、魅力的なモデルが少ない。国内市場への注力が不足しているのではないかと感じさせる状況だ。 トヨタやホンダなどの競合と比較すると、その差は明らかで、特に目立っている。選択肢が限られているため、特定のカテゴリーで日産車を選ぶ機会自体が少なく、限られたラインアップの中でも主力車は数えるほどしかない。 本稿では、過去と現在の状況を比較し、日産ディーラーの営業マンが抱える課題について理解を深めてもらいたい。
型式不変、競争力低下の懸念
現在、国内の日産ディーラーで購入できる新車のラインアップをご存じだろうか。以下にカテゴリー別に整理した。 ・電気自動車(EV):アリア、リーフ、サクラ、クリッパーEV ・コンパクトカー:ノートオーラ、ノート ・ミニバン、ワゴン:エルグランド、セレナ ・SUV:エクストレイル、キックス ・セダン:スカイライン ・スポーツ:NISSAN GT-R、フェアレディZ ・商用車:キャラバン、NV200バネット、AD、クリッパー(バン、トラック)、アトラス ・軽自動車:ルークス、デイズ、クリッパーリオ 日産のウェブサイトでは、ノートとオーラを別の別枠として紹介し、ミニバンには商用車ベースのキャラバンやNV200バネットを含めている。このような方法は、あたかも「選択肢が多い」と感じさせる印象を与える。 一方、10年前の2013(平成25)年12月時点の日産車のラインアップはどうだったのか、インターネットで当時のウェブサイトをアーカイブしているサイトを見つけたので、それを参考にして確認してみた。 ・EV:リーフ、e-NV200 ・コンパクトカー:ジューク、ノート、ノートメダリスト、キューブ、マーチ ・ミニバン、ワゴン:エルグランド、セレナ、ラフェスタハイウェイスター、ウイングロード ・SUV:スカイラインクロスオーバー、ムラーノ、エクストレイル ・セダン:シーマ、フーガ、スカイライン、ティアナ、シルフィ、ラティオ ・スポーツ:GT-R、スカイラインクーペ、フェアレディZ ・商用車:AD、ADエキスパート、NV350キャラバン、NV200バネット、バネットバン、NV100クリッパー、NT100クリッパー ・軽自動車:デイズルークス、デイズ、モコ、NV100クリッパーリオ これらを比較すると、10年間で大規模な車種のリストラが行われたことが明らかだ。特に、コンパクトカーは大幅に減少し、セダンは大衆向けの手頃な価格帯の車がほとんど姿を消した。 驚くべきことに、10年前と同じ型式の車が現在も販売されており、例えばエルグランドやスカイライン、GT-R、フェアレディZなどは改良が施されているものの、型式自体は変わっていない。 法規制に対応するための措置である部分もあるだろうが、このような状況では販売現場の負担が増し、国際的な競争力を維持するのは困難で、減収減益を招くのは避けられないだろう。