「世界一即戦力な男」が浪人して東洋大目指した訳 6年間引きこもり、夢をかなえるゾウ作者との縁
一方で、21~22歳まで受験勉強を開始しなかった理由を、「危機感がなかったから」と語ってくださいました。 「自堕落な性格だったので、まぁ大丈夫だろうと思っていたんです。ネットの影響も大きいですね。引きこもり・浪人の期間にはちょうど『30代で無職なんだけど楽しく過ごしてます!』というような、人生の浪費を楽しんでいるブロガーがめちゃくちゃ多かったんです。 映画ばかり見ている35歳無職の人の映画紹介のブログが多くの人に見られている様子を目の当たりにして、自分も大丈夫だと思えましたね。世間的な身分がなくてもネットで救われている人がたくさんいることがわかったことで、自分自身も救われました」
■「世界一即戦力な男」がネットでバズる 引きこもってネットを見続けた日々は、菊池さん自身の人生をさらに大きく変えることになります。 25歳で就職氷河期の中、就職活動をすることに不安を覚えた菊池さんは、得意のネットを使って就職しようと考えます。そこで実名・顔出しで「世界一即戦力な男」というウェブサイトを作り、「雇いたい会社募集!」と掲げました。 それがバズったことがきっかけで就職先が決まり、この自身の経験を書いた書籍出版とドラマ化も決まるという、まるでジェットコースターのような日々を過ごすことになります。
現在は専業作家として活躍している菊池さん。2017年には、菊池さんがTwitter(現・X)で文豪たちの文体模写でカップ焼きそばの作り方を投稿し、バズったことがきっかけで出版した『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』がシリーズ累計17万部の大ヒットを記録しました。 彼は今こうした人生を送れているのも、浪人生活に加えて、大学で得た経験が大きいと語ります。 「大学ではいい出会いもありましたし、いい授業も受けることができましたね。大学に入って最初にできた友達が村上春樹の本を貸してくれたことと、川端康成を1年かけて読む文学部の授業のおかげで、今まで興味がなかった分野の本も読むようになりました。