広告売上減少の中国バイドゥ、AIの収益化問題にも苦戦
中国の検索大手バイドゥ(百度)のコア事業である広告部門の第2四半期売上高は、縮小した。アナリストは、中国の経済回復が鈍化する中で、同社が人工知能(AI)テクノロジーの収益化に苦戦していることから、このトレンドが、年末にかけて続く可能性があると指摘している。 米国と香港で二元上場しているバイドゥの株価は、8月22日の第2四半期の決算発表を受けて、米ナスダックで4.4%下落後、23日の香港市場で一時7%も急落した。同社の総売上高の半分以上を占めるオンラインマーケティング部門の売上高は、前年同期比2%減の192億元(約3920億円)に縮小した。 バイドゥの売上高の減少は、クラウド部門の売上高の前年同期比10%増の成長により部分的に相殺された。また、同社は動画ストリーミング部門のiQIYI(アイチーイー)の低迷にも直面している。バイドゥの総売上高は、ほぼ横ばいの339億元だったが、純利益は前年同期比5%増の55億元に増加した。 上海を拠点とする調査企業Blue Lotus Capital Advisorsのスタン・ジャオは、バイドゥの下半期の見通しが楽観できないと述べ、中国の成長モメンタムの鈍化や、TikTokの中国版の抖音(Douyin)の広告市場における競争の激化などをその要因に挙げている。 これらの課題は、フォーブスが52億ドル(約7570億円)の資産を持つと推定する同社のCEOのロビン・リーの発言からも確認されている。22日のアナリスト向けの電話会議でリーは、自動車業界や不動産業界を含む広範な業種の広告支出が「特に弱い」ことを強調した。彼はまた、ユーザーがより多くの時間を費やすSNSプラットフォームへの広告主の移行にともなう競争の激化についても言及した。 「マクロ経済面では、消費者支出の回復が鈍化しており、広告分野では特にオフライン活動に大きく依存している中小企業の広告主が、非常に慎重なアプローチを取るようになっている」とリーは述べていた。 ■AIで収益をどう増やすか、明確な答えを見つけていない 一方でバイドゥは、AIからの収益をどのように増やすかについて、まだ明確な答えを見つけていない。アナリストとの電話会議で、リーは同社の生成AIが現在、5月との比較で11%増の約18%の検索結果を生成していると述べていた。しかし、2023年3月に初めてリリースされたErnieの大規模言語モデル(LLM)が情報をまとめるのに役立つ一方で、広告の表示は縮小している。これは、ユーザーがAIが数段落にまとめた回答を読む傾向があり、ウェブページをスクロールして広告を閲覧し、クリックする機会が減ったためだとジャオは述べている。 一方でジェフリーズのアナリストのトーマス・チョンは、22日の調査ノートで、バイドゥのAIを用いた実験が、次の四半期の広告売上を前年同期比で4%減少させる可能性があると指摘した。しかし、彼はまた、同社が広告システムを完全にアップグレードした場合に、収益を大きく伸ばす可能性があると述べている。 一方、バイドゥは、配車部門のApollo Goで大きな進展を遂げている。武漢市で完全自動運転のロボタクシーを運営するApollo Goは、第2四半期に前年同期比26%増の89万9000回の乗車を提供した。バイドゥは以前、この部門が来年には黒字化を果たすことを期待していると述べていた。
Yue Wang