縦読み漫画「Webtoon」には何が足りないのか? 読者の声から見えてきた創作性という課題
Webtoonのブランド力改善へ 創作性の成熟が鍵
そういった状況では、作品の創作性よりもレコメンドに載りやすいよう、アルゴリズムをハックするような作品が増えてしまうのは仕方ないだろう。 ビジネスの原理としては、売り上げを最大化する方向性は間違ったものではない。 一方で、Webtoonというジャンル自体の発展のためには、その盛り上がりを象徴するようなスター作品の登場が待ち望まれてもいる。 2022年に行われたカンファレンス「IMART」では、『俺だけレベルアップな件』などを手がけたレッドセブンの代表・李ヒョンソクさんから、「Webtoon業界全体が作家の育成に力を入れるべきだ」という提言もあった。 筆者自身も、読者として作品を探す中で、ジャンルの流行に乗りながらも独自の色を出そうとしている作品や、荒削りながらも強い作家性を持っている作品に出会うことがある。 しかし、長い時間をかけて一つのテーマを突き詰めていく作品は「いいね」を稼ぎづらく、アルゴリズムでは評価されづらい。 毎週フルカラーで描かれるWebtoonは制作費もかさみやすいため、途中でスタッフが交代し路線が変わってしまったり、翻訳のクオリティが低下したりと、作品の持ち味が薄れてしまうケースも多い。 今後、Webtoon業界全体で創作性を重視する傾向が強まるのであれば、業界を横断するアワードの創設など、創作性を評価する場の整備が求められていくだろう。 【調査概要】 「2024年WEBTOON(ウェブトゥーン)利用者に関する調査」 調査期間:2024年9月19日~9月22日 有効回答:<予備調査>15,000人 ※人口構成比に合わせて回収<本調査>311人 調査方法:インターネット調査 調査対象:<予備調査>15歳~69歳の男女<本調査>WEBTOON閲覧経験者 設問数 :<予備調査>12問<本調査>3問
小林優介