縦読み漫画「Webtoon」には何が足りないのか? 読者の声から見えてきた創作性という課題
Webtoonは既存の漫画ファン以外に広がっている
一方で、日本のWebtoon市場においては、2022年ごろから、SNSを中心としたファンダムコミュニティの盛り上がりが、既存の漫画文化と比べて弱いと指摘されていた。 筆者の個人的な観測範囲においても、Webtoon作品はpixivやXに投稿されるファンアートの数が、日本の漫画と比べて少ないという体感がある。 LINEマンガにはアプリ内にコメント欄があるため、ある程度は盛り上がりを可視化できるが、ピッコマにはコメント欄も無い。 筆者が知りうる限り、日本で最も活発にピッコマ作品について意見交換が行われているのは、5chと競合であるLINEのオープンチャットだ。 それにもかかわらず、MMD研究所による利用者への調査では、全年代においてピッコマやLINEマンガの方が優位に立っている。 「Webtoonは既存の漫画文化のファンとは違う層に広がっている」というのもよく言われる話ではあるが、それがデータとしても実証されたと言えるだろう。
課金傾向から見るレコメンドの重要性
MMD研究所の調査では、国産Webtoon(日本人作家)が増えたか否かや、作品の購入経験、支払総額に関するアンケートが行われている。 国産Webtoonの増加については、「増えたと思う」が16.4%、「やや増えたと思う」が40.2%と、約6割が増加を体感している。 Webtoonの購入経験については、59.8%が課金したことがあると回答。 金額については、「1000円~2000円未満」が21%と最も多く、「500円~1000円未満」が17.2%、「2000円~3000円未満」が11.3%と続く。 課金のきっかけについては「アプリ上で表示される広告で見た作品が気になったから」が24.7%とトップに。 各種グッズ展開やコンビニ商品とのコラボ、メディアミックスに加え、書店での物理的な接触など多数の経路を持つ日本の作品と違い、Webtoonの流通は掲載プラットフォームに依存しているのが現状だ。 何年も前からWebtoonを原作とするアニメが放送され、グッズ展開もされるなど、徐々にメディアミックスの経路も広がってきている。直近では『俺だけレベルアップな件』のように大々的に展開される作品も登場した。 それでも、日本国内における大手漫画誌の作品の展開規模と比べると、まだまだ発展途上だと言える。