上田淳子さんも最初はびっくり! フランスで覚えた「キノコの最強の調理法」はこれ
秋になると食べたくなるキノコ。和食では、鍋に入れたり、キノコ汁にしたり、炊き込みご飯にしたりします。さっと酒煎りにして和え物にしたりもいいですね。 【写真】どのくらいまで炒めればいい? 最強のキノコの調理手順を連続写真で ところが、フランスでは、キノコは徹底的に炒めて水分を飛ばす調理法が一般的! 上田淳子さんは、フランスで修業したことがあります。その料理は日本とは大きく違っていたとか。そのひとつがキノコの扱い方です。 料理研究家、上田淳子さんの新著『レシピ以前の料理の心得』(青幻舎)は、普通のレシピ本とはちょっと違う、文字が中心の本です。発売即重版の人気ぶり。 伝えたいのは、「なぜこのタイミングで?」「なぜこの作業をするの?」、その意味を見つけ出し、それを自分の料理の心得とすること。 50を超える料理について、この「理由」を丁寧に伝えてくれています。今まで思っていたことと全然違う、調味料の順番間違えていた、などたくさんの発見があります。 そこそこ料理ができる人こそ読んでほしい、「もっとラクにおいしく作るためのコツ」。 この本の中から、5つの料理を紹介するシリーズ。 第1回は【 高たんぱくの最強食材、鶏のむね肉。絶対パサつかない技を料理家・上田淳子さんが伝授】、第2回は 【顆粒コンソメなしで絶品野菜スープ! 上田淳子さんが伝授する「たったこれだけ」のコツ】、第3回は 【「大根はゆでるな」上田淳子さんが教えてくれる、最強のふろふき大根の作り方】、第4回は 【いま大流行のせいろで作りたい。餃子より圧倒的に簡単な「手作り焼売」の極意】をお伝えしました。 第5回はキノコのマリネです。 徹底的に炒めて水分を抜くからこそおいしくなる。なぜそうするのかを、順番に見ていきましょう。これまでとは全然違う絶品マリネが作れますよ。
しっかり炒めて旨みを引き出す
年中手に入るキノコではありますが、暑い夏よりは少し寒くなってくる頃の方が食べたくなりませんか。キノコと一口に言っても、それぞれに質感や香り、歯応えに違いがあるのが面白いところでもあり、何よりどんな調味料と合わせても負けない強さと寄り添う優しさがあります。 さっとゆでて醬油で和えても、ごま油で炒めても、クリーム煮にしても、それぞれによさが光ります。調理法だって煮るから揚げるまでなんでもよし、硬くしっかりしたマッシュルームならサラダにしてもいいですね。 私がここでお伝えしたいのは、日本とフランスのキノコの扱い方の違いについてです。 フランスの料理経験の中で驚いたことの一つに、キノコの炒め方がありました。この国では、キノコはしっかり、本当にしっかり炒めます。大きなまま、みじん切りなど形状はさまざまですが、共通するのはとことん炒めること。その目的は「旨みを凝縮させる」ことにあります。 キノコの水分を飛ばして凝縮させた旨みを、料理に反映させる。これが本当においしい。肉料理や、バターを使う料理が多いフランスならではの調理法だと思います。 例えばオムレツ。バターでしっかりソテーしたマッシュルームを半熟にした卵の上にわさっとのせて包んでもいいですし、シンプルなオムレツに添えるだけでも。旨みを引き出したマッシュルームは食感もよく、卵の優しい味わいと相まって、朝食から一気に夜のメイン料理の装いに。ワインを用意したくなる王道の一皿になります。 ソテーした肉のつけ合わせに使うなら、椎茸、しめじ、マッシュルームなどを食べやすく切り、水分が飛んでぱらりとするくらいまで、オイルでしっかり炒めます。10分ほどが目安でしょうか。水分が飛ぶことで味わいも歯応えも凝縮するので、まるで肉を食べているような食感になります。 私はこれを粒マスタード、ワインビネガー、サラダ油、塩・こしょうのドレッシングでマリネするのが大好き。冷蔵庫で3日ほどもつので、作り置きにもいいですよ 。