近江八幡、築100年近く現役の西洋デザイン名建築の宝庫!建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの作品を建築ライターが巡ってみた
「ヴォーリズさんの建築からはそこに込められた思いがよく伝わってきます。当時の常識で考えるととんでもないようなデザインが詰まっていて、物事の根本から突き詰めて考える姿勢は現代の我々にとっても勉強になります。通風や採光の考え方もそうですし、井戸を使うのが当然だった時代に水道を通すなど、使い勝手や衛生面を徹底して追求していました。この郵便局はだれでも無料で立ち寄れる場所として開放しています。こんな建築家がいたんだということを知っていただくことで、見る人がなにか得られるものがあるといいなと思っています」
建築業界内での評価が高い建築物の取り壊しが検討される際、地元の建築関係者が中心となって保存運動が組織されることは多々あります。しかし所有権の問題や経済的理由により、取り壊しの帰結となることがほとんど。ここでの活動は、個人の熱意が自分たちにとって大切なものを守る道筋をつくった事例として、建築保存に限らず学べるものがあるのではないでしょうか。 市内のヴォーリズ建築を見て歩くツアーは春秋の2回、近江八幡観光物産協会の主催で開催されており、見学可能なヴォーリズ建築の情報も公開されています。また、ご紹介したオーディオガイドは近江八幡駅前の観光案内所などで販売されています。京都から電車で約40分の近江八幡に残るヴォーリズ建築を訪ねてみてはいかがでしょうか。 ●見学情報 (一社)近江八幡観光物産協会 ●取材協力 公益財団法人近江兄弟社 まちや倶楽部 学校法人ヴォーリズ学園(ハイド記念館) 特定非営利活動法人ヴォーリズ建築保存再生運動一粒の会
ロンロボナペティ