「はやぶさ2」カプセル到着 リュウグウ由来物質あるか、JAXA「分析フェーズに」
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8日、記者会見し、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に投下したカプセルがJAXA施設に到着したことを報告した。カプセル内には、はやぶさ2が小惑星「リュウグウ」で採取した土砂などのサンプル(試料)が入っているとみられ、JAXA宇宙科学研究所(宇宙研)のある相模原キャンパス(神奈川県)内の研究施設で分析を開始する。津田雄一プロジェクトマネージャーは「ついに相模原に(カプセルが)戻ってきた。見たときには、52億キロの(宇宙)飛行から戻ってきた実感が湧いてきた。非常に心に迫るものがあった」と語った。 【動画】「はやぶさ2」カプセルが日本到着 JAXAが会見
「傍証レベル」なら来週以降に判明
宇宙研の國中均所長は、カプセルがJAXA施設内に無事運び込まれたことを受け、「セキュア(安全)な状態を確保できた。これ以降は物質分析フェーズに入る」と宣言。はやぶさ2の吉川真ミッションマネージャーは「カプセルが相模原に戻ってきて本当にほっとした。一つだけ残っているのが、サンプルが入っているか。入っているとしたらどのくらい入っているのかだけが気がかり」と気を引き締めた。 地球外物質研究グループの臼井寛裕氏は「これから(中身を)分析する立場。衛星運用チームはほぼ“1万点”の状態で届けていただき、ありがとうございます。“1万点”を“2万点、3万点”に変えられるように頑張っていきたい」とカプセル着地時の津田氏の発言を踏まえて意気込みを語った。 さらに「ポイントはせっかく宇宙空間から持って帰ってきた試料を、地球の環境になるべく汚染させずにリュウグウにあったままの状態を記載し、研究者に提供するのが仕事」と述べ、はやぶさ2用に特別に設けられた部屋で、真空状態で作業し、次に純度の高い窒素環境で観察していくと説明した。 焦点はカプセルの中にリュウグウ由来の物質が入っているかどうかだが、記者からそれがいつ頃分かるのか問われると、臼井氏は、地球の物質が入り込む可能性は低いという前提から「カプセルの中に黒い物質があったら、ほぼ確実にリュウグウの物質といえると思う」と述べ、それは「来週以降に分かる」と語った。 ただしそれは科学的な評価の前の「傍証」というレベルだと強調。「それが本当にリュウグウの物質かどうかは科学分析をしないと」と、科学的な評価として確定するにはサンプルを出して分析する必要があるとした。