春までの気温がダントツの高さ・・・夏も未知数の暑さに?梅雨入りは? ベテラン気象予報士が「地球規模」で考えてみた【教えて!吉田さん!!】
5月になって・・・何?この寒さ!?
4月は暖かい日が続き、日本の平均気温は平年より2.76度高く、1898年からの統計史上最も暖かい4月となりました。ところがゴールデンウィークからは状況が一変。5月7日は北海道道北では雪が降り、そのほかの各地も冷たい風が吹きました。3月にも強い寒波の影響で、西日本から東日本にかけて平年より遅い桜の開花となり、入学式に桜という昭和の風景が復活しました。今年の春は暖かい日が多い一方、寒い日もかなり目立っています。
やはり、ダントツの暖かさに
一体どうなっているのか?1月から直近の5月9日までの気温の平均をとって、過去の年の同期間の気温を比較してみました。調べたのは日本の平均気温の計算に使われている15箇所(網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、飯田、銚子、境、浜田、彦根、宮崎、多度津、名瀬、石垣島)です。 その中で最も気温が高かったのは、結局今年でした。平年に比べ1.47度高く、2位の2002年を0.33度も引き離しました。2002年といえば、その頃での観測史上最も早く桜が咲いた年であり、卒業式に桜という未来を先取りしたような風景が思い起こされます。3位は観測史上最も暖かった2023年で、これらの年を引き離すとは、未知の領域に突き進んでいるともいえなくはありません。もちろん、これは日本に限ったことではありません。
ミャンマーで48.2℃!?
実は世界的にみても高温が続いています。4月の気温が特に高くなったのは東南アジア。地球温暖化により大気全体が温まっていることに加え、エルニーニョの名残からインド洋で海水温が高まっており、インド洋で積乱雲の活動が盛んになっています。このため、フィリピンからインドシナ半島にかけて太平洋高気圧の西への張り出しが強まり、東南アジアでは「少雨・高温」の状態が続きました。中でも、ミャンマーでは4月として最高気温の48.2℃を記録。その影響は沖縄の先島諸島にも及び、石垣島でも記録的な高温に見舞われました。
今後は?まずは「北極」を見てみよう
気温変動を左右するカギのひとつは「北極からの寒気」。北極と中緯度域との気圧差によって、寒気は北極に「蓄積」し続けたり、中緯度域に「流出」したりを繰り返しています(この現象を「北極振動」といいます)。 今年の3月は北極から寒気の「流出」が多かったのに対して、3月の終わり頃から「蓄積」モードに変わり、寒気の流出はほとんどなくなりました。ところが、4月の後半からは北極から寒気の「流出」が始まり、5月の急な寒さに繋がりました。記録的に暖かくなっても、突然、寒くなることがあり得るということも忘れてはいけません。