親の介護が必要になったときのことを考えると資金面について不安です。「介護費用」を賢く抑える方法ってあるのでしょうか?
「いま親は元気だけど、この先介護状態になったらどうしよう。特に資金面について不安……」と親世代の今後について、子世代が不安に感じているケースはとても多いようです。誰にとっても、介護が必要となる可能性はゼロではありません。 本記事では、親にはいつまでも元気でいてほしいと願いつつも、今後に不安を感じている方にむけて、介護費用の平均額と選択肢、そして介護費用を抑えるポイントをお伝えします。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
まずは、平均的な費用を知ることから始めましょう
人生100年時代といわれるなかで、経済面や健康面での不安を抱える方の割合も多くなっています。これまで経験したことのない長寿社会で、今後のイメージがつかないというのが理由のひとつかもしれません。 人生の最期までの年数が分かれば計画がたてやすいものの、当然、先のことは分かりません。そういった場合に目安となるのが、平均値です。まずは、平均値を知ることがこれからを考える第一歩となるでしょう。 公益財団法人生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によれば、公的介護保険サービスの自己負担分を含む介護費用の平均額および介護期間は、以下の通りでした。 ・一時費用(介護用ベッドの購入、トイレや段差解消などの住宅改修など)74万円 ・月々の介護費用(施設利用料、訪問看護や訪問介護、福祉用具レンタルなど)8万3000円 ・介護期間 5年1ヶ月(61ヶ月) 上記を計算すると、介護費用の総額は、74万円+(8万3000円×61月)=約580万円にもなります。 ■介護状態となったとき、生活拠点によって異なる負担額 介護状態となった場合の生活拠点をどこにするかで、費用の種類や負担額は変わります。 在宅であれば、住み慣れた自宅で生活できますが、環境を整える必要があります。そのためにまとまったお金が必要ですし、公的介護保険が適用されるとしても、医師や看護師のほか、身の回りの世話を担う介護スタッフに訪問してもらうため、サービスの頻度や内容によっては自己負担が発生します。 一方、施設への入居の場合には、24時間体制のため安心ですが、実際にかかる介護費用のほか、見守り等の施設利用料が上乗せされます。 同調査によれば、月額8万3000円という平均額であっても、在宅では4万8000円、施設利用では12万2000円と差が生じています。 ただし、介護費用だけでなく、生活にかかる支出額についても考慮しておきたいものです。 在宅であれば、食費や電気・ガス・水道などの光熱費や通信料が発生しますが、施設入居であれば、単価×回数の食費と光熱費などは居住費やサービス料に含まれることが多いため、負担額は抑えられます。こうした生活費の軽減により、介護施設への入居費用を補うことが可能な場合もあります。 図表1