同窓会に毎回出席の高齢者は脳が老化? 90歳現役医師「落ち目同士で群れない」が若さの秘訣
折茂医師は、東京大学医学部老年病学教室の元教授で、日本老年医学会理事長を務めていた老年医学の第一人者。自立した高齢者として日々を生き生きと過ごすための一助になればと、自身の経験を交えながら快く老いる方法を紹介した著書『90歳現役医師が実践する ほったらかし快老術』(朝日新書)を発刊した。同書から一部抜粋してお届けする(第6回)。 【動画】90歳現役の折茂肇医師の回診の様子とインタビューはこちら * * * ■(2) 落ち目同士で群れず、異文化と付き合う 自然なことなのかもしれないが、年齢が上がるほど、小学校、中学校、高等学校、大学などから同窓会の案内が届くようになる。落ち目となり、なんとなく寂しくなると、同類と慰め合いたいという気持ちがふくらむのは理解できる。ただ、同窓会に毎回出席するという現象は、脳の老化の進んだ人によくみられるようで、何事もほどほどにしたほうがいいと思っている。同窓会の案内が届いて予定が空いていたとしても、ときどき欠席するくらいがちょうどいい。そのほうが参加したときのありがたみが増すというものだ。 異文化と付き合うことは、落ち目の防止策として極めて重要と考えている。言い方はよくないが、「同じ穴のムジナ」と付き合っていても、いつも同じ発想でしか話が進まないため、新たな発展が生まれないのだ。 右脳と左脳の働きの違いを前の章で述べたが、右脳は総合的な判断力をつかさどり、その働きは年をとってからも経験や学習によって高まることが期待できる。異文化と付き合うということは、これまでの経験や論理では割り切れない新たなものと向き合うということ。つまりは、それまで以上に総合的な判断力を求められることになる。その結果、より右脳の働きが鍛えられることから、脳の若さを保つために有用と考えられるのだ。 異文化と付き合うことの良さを示すデータではないが、同居以外の他者との交流が週1回未満では、健康上のリスクとなる可能性があることがわかっている。