同窓会に毎回出席の高齢者は脳が老化? 90歳現役医師「落ち目同士で群れない」が若さの秘訣
サケは海に棲むが産卵時には川に上がる。そこから、海水と淡水の両方に棲める魚でカルシトニンの活性が高いのではという発想がひらめき、ふだんは川に棲み産卵時に海に行くウナギを調べたところ、「ビンゴ!」であった。このひらめきが、将来的に骨粗鬆症の治療薬の開発につながっていくのであるが、こうした発想も研究の成果も、臨床医である私とは異文化である動物学者、生化学者、薬理学者、製薬会社との共同研究だったからこそ得られた賜物だ。異文化との付き合いなしにはなし得なかったことである。 年をとればとるほど、長年の思い込みや凝り固まった意識で、目にウロコが張り付きやすくなる。でも、異文化と付き合うことは何歳になってもできる。恐れずに、これまでの自分が知らなかった世界に一歩を踏み出すことをおすすめしたい。目からウロコが落ちたとき、その世界がどう見えるか。わくわくするだろう。 * 斉藤雅茂ほか:日本公衛誌62:95-105 2015
※『90歳現役医師が実践する ほったらかし快老術』(朝日新書)から一部抜粋 ≪著者プロフィール≫ 折茂肇(おりも・はじめ) 公益財団法人骨粗鬆症財団理事長、東京都健康長寿医療センター名誉院長。1935年1月生まれ。東京大学医学部卒業後、86年東大医学部老年病学教室教授に就任。老年医学、とくにカルシウム代謝や骨粗鬆症を専門に研究と教育に携わり、日本老年医学会理事長(95~2001年)も務めた。東大退官後は、東京都老人医療センター院長や健康科学大学学長を務め、現在は医師として高齢者施設に週4日勤務する。
折茂肇