専業主婦は要注意?富裕層かどうかは関係ない…「相続税の税務調査」がやって来る〈意外な家庭状況3選〉【税理士が解説】
「相続税対策の基本を知りたい」「裏ワザ的なことも知りたい」「何より、円満に相続を終わらせたい」──こうした希望を持ちながらも、巷に溢れる相続税対策情報に惑わされ、何が正しいのか疑心暗鬼になっている方は多いでしょう。相続専門の税理士であり、庶民的な家庭から100億円を超える資産家まで、多くの相続事例を担当してきた大田貴広氏の著書『相続のお金の残し方「裏」教科書 専門税理士が限界ギリギリまで教える“99%節税できて100%モメない”方法』(KADOKAWA)より、一部を抜粋して紹介する本連載。大田氏が、円満に相続を終わらせることを前提とした、効果的な相続税対策について解説します。 都道府県「遺産相続事件率」ランキング…10万世帯当たり事件件数<司法統計年報家事事件編(令和3年度)>
財産が少ないところには、税務調査はこない?
相続税の税務調査は、財産がたくさんある富裕層にしかこないと思っていませんか。 「うちみたいに財産が少ないところには、税務調査はこない」と油断していると危険です。富裕層に優先して調査が入る事実はありますが、財産が少なくても次の3つの特徴を持つ家庭には調査が入りますのでご注意ください。
(1)家族が持っている財産が多い
配偶者や子供や孫など、故人以外の家族が多くの財産を持っている場合、調査に選ばれる可能性が高いと言えます。その家族の財産の中に故人のものが含まれている場合があるからです。 なかでも専業主婦は疑われます。なぜなら、お金に色が付いていないため、夫婦のお金のやり取りの中で配偶者に財産が移ってしまうことが多いからです。 専業主婦は、基本的に収入がありません。それなのに、5,000万円や1億円といった財産を持っている場合、税務署は夫の財産を預かっているのではないかと判断するわけです。夫の退職金を妻の口座で運用している、夫が妻の証券口座を使って株式などを運用している場合などは特に危ないので、今のうちからそれらの金融資産は夫の口座へ戻すなどの対策を講じておく必要があるでしょう。また収入に見合わない財産を持っている家族もよく調べられます。 例えば30歳で1億円を持っている孫がいたとします。一般的に30歳で1億円を貯められる人は限られていますので、税務署は故人からの財産が移っていないかを疑うのです。ここで故人からの贈与について贈与税の申告書が提出されていて、金額の辻褄が合えば問題ありませんが、計算が合わない場合は調査でヒアリングをされることになります。調査では、生前贈与がきちんとなされているのかを徹底的にチェックされることになるので す。 これらの家族名義の口座に入っている個人の財産は、名義預金と言って税務調査で最も問題となります。名義預金については、この後に解説します。
【関連記事】
- なぜ物価の安いエリアに引っ越さないのか―― 東京都港区の貧困層、大都会の片隅で #令和のカネ #令和の親
- 「親が亡くなったら、真っ先にコンビニへ走る」が新常識!相続手続きで困らないためにやるべき、たった一つのこと【税理士が解説】
- 〈月収77万円〉59歳の大企業部長、60歳定年「再雇用」か、それとも「退職」か…会社を去る人たちの自滅パターン「何か間違いでは」
- 「すまん、どう考えてもムリ」娘は私立中学、息子は…年収950万円でも家計切迫「東京だったら…」 #令和のカネ #令和の子
- 「宝くじ1.5億円当たった!」年収560万円の50歳サラリーマン…歓喜も束の間、“まさかの決断”へ。高額当選者がたった数年で「不幸」になりがちなワケ【FPが解説】