75歳・料理研究家の“イラスト”レシピ。子どもでも理解するために工夫したこと
子どもが「料理好き」になるきっかけにも
「料理は本来シンプルで楽しいものである」。その河村さんの想いがぎゅっとつまったレシピ本には、家族で楽しんでいるという声も寄せられています。 「これは50代男性の投稿ですが、この本を読んでいるときに、お孫さんがちょうど来て『本を貸してほしい』と言ってしばらく真剣にながめていたそうです。そしたら、そのお孫さんが『これならパパにもご馳走してあげられる!』ってコメントしたのだとか。すてきな話ですよね。 実際に小さいお子さんひとりではつくれないかもしれません。でも、その子が料理を好きになるきっかけにはなります。イラストは白黒にしているので塗り絵で使ってもらってもいい。そうやって料理に興味を持ってもらえる、だれかの大切な一冊になってくれたらうれしいな」(河村さん) 調理工程もオーブントースターがメインなので、料理が苦手な人や子どもでもつくることが可能。また、“だれでも”できるレシピ本だからこそ、大切な人にプレゼントして欲しい…、と河村さんは考え、本の帯には「○○さまへ ○○より」と印字されている、贈り物仕様にしたそうです。
完成図がないからこそ、料理を楽しめる!
そんな“料理心”に寄り添っているレシピ本には数多くの声が届き、河村さんと若杉さんもそのお便りを読むたびにうれしい気持ちになっているそう。そこで、とくに印象に残っているものを尋ねてみました。 多くのレシピが、過熱時間10~15分、20分という時間設定になっていてこれが絶妙。15分あれば、トースター調理をしている間に、コンロでもう1品つくれるので食事の幅が広がります。また、ひとつのレシピに多くの材料を入れないため、食材かぶりの悩みも少なく、つくりおきできるのもラク。 日常生活でいちばん大切な「食」の部分の手間をかけないのに豊かにできる魔法のような本で、食事を用意する人への優しさに満ちあふれていると感じました。本の題名にもある“毎日簡単”。そのとおり。 いちばん感銘を受けたのが、イラストが、トースターに入れる直前になっているところです。写真やできあがりのものだと、「これが正解!」というように感じますが、イラストのおかげで想像の余地が生まれて、こんな感じでいいかな…という余裕も。あえて完成図がないことによって、自分のつくった料理をみて初めて、「こんな風にできるんだ!」と驚きと満足を得られます。イラストに込められているお気遣いに若杉さまの優しい人柄が出ていて温かい気持ちになりました。 (札幌在住・40代女性) このコメントを読むと、実際にどんなレシピなのか気になりますよね? そこで、本の中からイラストレシピを2品教えてもらいました。