“61歳で東大入学”した男性。サラリーマンの傍ら「退社後と休日の勉強」で合格できたワケ
―[貧困東大生・布施川天馬]― 「難関大学合格には、豊富な教育投資が不可欠」。そう思い込む方が一般的。だからこそ首都圏では今日も熾烈な受験戦争が繰り広げられます。 確かに、これこそが「一般的」なルートには違いないが、必須でもない。「やるべきこと」さえやれば、進学は可能。問題は、方法が世に広まっていないことでしょう。独学で難関大進学を果たす秀才は、どのような学習法を採用しているのでしょうか。 ⇒【写真】「自作した」という仏語テキストの一部 今回お話を伺うのはケニーさん(仮名)。一般企業に勤めたあと、60歳の定年を機に一念発起し、61歳で東大入学にチャレンジ。現在も関連会社で働き続け、サラリーマン生活の傍らで受験勉強を勝ち抜いた強者です。
高校生の時の“心残り”を思い出し東大受験を決意
「出身は九州で、高校卒業後は九州大学に進学しました。理学部で数学を学びましたが、高校2年の当時から数学と言語に興味があり、迷った末に言語は独学可能と考え、数学を選びました。 大学卒業後は東京で就職して、60歳の定年まで勤めました。定年後も雇用延長制度を使って働き続ける選択をしましたが、職種が変わり18時には帰宅する生活になり暇ができた。そこで、高校生の頃の自分を思い返し、チャンスは今しかないと、言語学での東大受験を考えました」 定年までは24時過ぎのタクシー帰宅も多く激烈な日々も珍しくなかったケニーさんですが、定年後は定時の業務終了が日常に。定時後や週末がすっぽりと空いてしまった。 今は人生100年時代。ろくに仕事をしないで過ごす自分が想像できず、このまま無為に70、80まで過ごすとしたら……と恐ろしくなったそうです。 暇を持て余す将来を考えた彼は、かつて数学と言語学で迷った過去を思い出します。もちろん今でも言語学を学びたい気持ちは燃えている。しかも勉強時間は十分なほど確保できる。こうして、大学への再入学受験を決意します。 もちろん、今の勤め先から転職するつもりもなかったので、都内で通える大学に。もともとは京都大学志望であったのに直前で断念した当時の記憶がよみがえり、「東大にチャレンジしよう」と決断しました。