“黄金世代”は16強終幕…10人でも帝京大可児スタイル貫いたMF松井空音は阪南大へ「絶対に日本一になりたい」
[1.2 選手権3回戦 帝京大可児高 2-3 前橋育英高 駒沢] 大きな期待を背負ってきた帝京大可児高の黄金世代の冬は、10人での敗戦という不完全燃焼の幕切れとなった。それでも仲村正剛監督は試合後、「帝京大可児のサッカーがやりたいと入ってきてくれた選手たちが、そのサッカーを前橋育英さんに対して貫き通せたと思う」と選手たちをねぎらい、高い技術を持つMF松井空音(3年=FCフェルボールテクニコ)らを中心としたパスサッカーを誇った。 【写真】「イケメン揃い」「遺伝子を感じる」長友佑都の妻・平愛梨さんが家族写真を公開 全国通算10ゴールと圧倒的な得点力を誇るエースのFW加藤隆成(3年)、圧倒的なドリブル突破を見せるMF明石望来(3年)ら1年時から先発を担ってきた選手に加え、帝京大可児らしいパスワークの根幹を担う松井ら個性豊かな選手たちを擁し、本気で日本一を目指して臨んだ世代。3回戦では前橋育英高に対し、前半8分までに2失点を喫する苦しい状況に追い込まれたが、そこから堂々の反撃を見せた。 「これまでの試合よりもスピード感があって難しいゲームになったけど、ビビっていたら始まらない。ビビっていたら自分のプレーは出せないし、ボールを奪われないこと、いい状態でボールを持って前に運んでいくのが自分の持ち味。失うものはないし、2点を取られてから前がかりになるというのを自分の中で決めてチャレンジしていった」(松井) 立ち返ったのは1年間を通して貫いてきた帝京大可児らしさだ。松井は2回戦・大分鶴崎戦後、次のように語っていたが、その姿勢は時間を追うごとに、前橋育英に対しても徐々に出さるようになっていった。 「パスサッカーと言っているチームは他にもあるけど、プレッシャーをかければボールを蹴ってきたりする。僕らのパスサッカーはかけられてもつないでいくところに他のチームとの差がある。自分たちは他のチームと違うパスサッカー。パスを繋いでいるだけと思われたくないし、パスを繋ぐし、突破もしていくというところで自分たちのパスサッカーが相手の脅威になっていければと思う」(松井) 0-2となってからは松井とMF伊藤彰一(2年)のダブルボランチを中心にパスをつなぎ、徐々に前橋育英のプレスを弱めていくと、存在感を放ったのは2回戦・大分鶴崎高戦の途中出場3アシストを経て全国初先発を果たしたMF中村一輝(3年=帝京大可児中)。高い技術でことごとく相手をいなすと、前半16分にMF明石望来(3年)、同27分に加藤のゴールを演出し、2-2の同点に追いついた。 そのまま一気に逆転ムードへ。しかし、良い時間は長くは続かなかった。 前半33分、背後を突かれたボールにペナルティエリア外まで飛び出したGK水野稜(2年)が相手選手にファウルし、一発退場を強いられると、好調を見せていた中村がGK緒方琉太(3年)に代わって途中交代。その緒方も再三のスーパーセーブでチームを救っていたが、10人での攻撃は苦しかった。 前橋育英の山田耕介監督が「退場に救われてやっと互角になった」と振り返ったように、松井を中心としたボール保持は1人少ないことを感じさせないクオリティーを見せた。しかし、加藤にボールを集めた決定機はことごとく相手GKがセーブ。すると最後は後半36分、相手のクロス攻撃に屈して劇的な決勝ゴールを許し、2-3の敗戦に終わった。 本気で日本一を目指していた中での悲痛な結末。それでも最後はすがすがしく大会を去った。松井は「11人で最後まで戦って勝てればよかったけど、結果は結果なので仕方がない。個人的には楽しかったし、やり切った」と振り返り、帝京大可児が成し遂げたことのない8強突破には「あとは後輩が超えてくれることを託したい」と話した。 松井は卒業後、関西学生リーグ強豪で総理大臣杯王者の阪南大に進学予定。これまでは中学時代から憧れてきた帝京大可児のスタイルの中で「自分はそんなにフィジカルも強くなくて細身だけど、このチームのプレースタイルなら勝てる。体格差があってもいなしたり、ボールを緩急で運んで行ったり、相手の逆を取る縦パスだったり、そういう部分で通用するところを見せたい」と能力を高めてきたが、次は大学サッカーの高強度の中でのパフォーマンスが問われる。 もっとも、そんな高い強度の中でもボールを奪われず、チームを操るような仕事ができる選手は何よりの希少価値となる。松井は「自分のボールを奪われない持ち味と縦パスで阪南大でもチームに勢いをつけたいし、そこに一人で決め切る決定力もつけて、点も取れるMFを目指してレベルアップしたい。そして絶対に日本一になりたい」と決意を新たに、次のステージに向かう。
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