動画配信サービスから配膳ロボットまで!“U-NEXT”デジタルビジネスの裏側
リーマンショック直撃~「社長退任」からの復活
電柱の不正使用問題という最初の危機を乗り越えた宇野は攻めに転じる。光回線などインターネットのインフラ事業、動画配信の「GyaO」などIT事業に乗り出していった。 90年代後半は「ライブドア」の堀江貴文氏や「楽天」の三木谷浩史氏、「ソフトバンク」の孫正義氏などITベンチャーが急成長した時代。歩調を合わせるように宇野の「USEN」も拡大、社長就任3年でナスダック・ジャパンへの株式上場を果たす。 そこに2度目の危機が襲い掛かってきた。2008年のリーマンショックだ。世界的な金融危機で株価が大暴落。「USEN」グループも巨額の損失が発生し赤字となってしまった。 「当時、30行の銀行からまとめて一つの契約の中で借り入れをしていたが、将来性のある大事な事業を『とにかく売れ』と。『会社からの経営に対する関与を薄めろ』、要は『退任しろ』と」(宇野) 宇野はグループ内の事業を次々と売却、2010年には社長も退任した。唯一残ったのが、当時赤字で買い手のつかなかった、動画配信会社の「U-NEXT」だった。 「当時、300人の『U-NEXT』の事業に関わっていた社員がいましたが、彼らとともに外に出て新しい会社となり、『3度目の挑戦、3度目の上場を目指す』と。45歳になってまた上場を目指す、『また一からやるのか』というのもあったのですが、それでもこの事業にかけたいと」(宇野) やがて動画配信時代が到来し、再スタートを切って4年、『U-NEXT』 は東証マザーズに株式を上場。宇野は2度目の危機も乗り越えてみせた。
未来を予測する会~5年に一度「起業家」が集結
5年に一度、宇野が作った「インテリジェンス」の創業期メンバーが集まる会合がある。 集まる理由は恒例のイベントにあった。5年前に出した「未来予測」の答え合わせだ。
今回も答え合わせが始まった。最初はU-NEXT HOLDINGSの時価総額。宇野は5年前、3000億円になると予想したが、結果は「2859億円」(2024年6月14日終値)と、ほぼピッタリだった。 続いては日経平均株価。宇野は2万円と予想していたが、答えは「3万8814.56円」(同)。さすがにこの株高は読み切れなかったようだ。 その後も5年前の未来予測の答え合わせに会は大盛り上がりだった。 「5年前には『こうなるのかな』という時代が、どのくらいなるのか、あまりならないのか、みたいなことを予想するのが癖になっていって、自分がやってきたこととゲームとして楽しんでいることが一致している。未来予想ゲームは何回やっても面白いです」(宇野) ※価格は放送時の金額です。