「メモ1枚」も持ち出せない、エボラ治療施設の映像を公開 ── 国境なき医師団
感染拡大と戦う日本人看護師
エボラ出血熱の流行が最も深刻な地域の一つ、アフリカのシオラレオネで医療活動を行った「国境なき医師団(MSF)」の看護師吉田照美氏が5日、都内で記者会見をし、「暑い中で針を使う。集中するのも難しかった」などと現地の状況を報告、実際の活動を含む資料映像を公開しました。 資料映像は、シエラレオネ東部のカイラフン県にある、国境なき医師団が運営するエボラ専門治療センターで撮影されました。医療関係者の感染と死亡が報告されるなかで、医療行為を続ける吉田看護師や国境なき医師団スタッフの姿が収められています。 ブーツごと消毒おけに浸すシーンや、防護服を着用する際、同僚との「ダブルチェック」で服を着用するさまなど、入念に除染を行う様子を紹介。「メモ用紙の1枚」も持ち出すことができない「要注意区域」は、除染などの管理が徹底されない場合、ウイルスが外に持ち出されることになるといいます。 吉田看護師は、感染者を治療するテント内で少年に包帯を巻こうとした際、なかなかスムーズに包帯が巻けなかった例を挙げ、「少年は10歳ぐらいだった。下痢や発熱、嘔吐の症状があり、点滴をしていたが、夜間のうちに抜いてしまった」と医療の難しさを説明。少年は混乱した状況にあったので、「大丈夫だよ」と声をかけながら対応したといいます。 WHOによるとギニア、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリア4か国のエボラ出血熱の感染者数は計1603人、死者は887人に上るといいます(8月4日現在)。