「月5万円の年金暮らし」シングルマザーで2人の子を育て上げた73歳の今「食費1万円でも豊かな暮らしはできる」
■あきらめの気持ちで始めた節約生活 視点を変えたことでネガティブからポジティブに 中古住宅を購入したことで貯金をほぼ使い果たし、年齢的なこともあってか、それまで細々と続いていた仕事もグッと減っていきました。そのため月5万円の年金で衣食と光熱費など、すべてをまかなわざるを得ない状況になっています。
「初めは『この少ない金額で、これからひとりで生活しなければいけないのか。パートに出るにしても、果たして雇ってもらえるのかどうか』と、焦りと不安でいっぱいで、眠れない夜が続きました。ところがそんなあるとき、『いや、考えてみたら、何もしなくても5万円はもらえるのだ。それはむしろありがたいことではないか』とまったく逆の考えが、ふと浮かんだのです。すると心が少し軽くなり、希望のようなものがほんのり見えてきました。そしてそこからは、お金を使わずにどれだけ豊かな生活を送れるか、ということに目が向いていきました」
少しずつ節約生活を実践し、経験値を上げていくうちに、「節約は、我慢やつらさを強いられるものではなく、心地よく生活するための知的活動だ」と、紫苑さんの考えが大きく変わっていったのです。
■お金に対する不安はなくなり、工夫を楽しむ快適な日々 「驚いたことに、旬の野菜や、たんぱく質豊富で安い食材を使った食事を続けるうちに、体調がすっかりよくなりました。日々の生活では食材以外のものはほとんど買わないのですが、ときにはプチ贅沢と称して、普段よりちょっぴり美味しいものを食べたり、趣味嗜好のために使うなど、限られている分メリハリのあるお金の使い方ができるようにもなりました」
そんなふうに過ごしていくうちに、無理や我慢をしなくても、節約しながら楽しい生活をすることができる。節約すること自体を楽しめばいいということに気づいたという紫苑さん。 「するとそれからはお金への不安もなくなり、行く先のことを考えて憂えることもなくなって、“今の自分”に集中できるようになりました。節約生活が私にもたらしてくれた恩恵は、とても大きいものでした。そしてそれは今でも日々着実に増えるばかりです」