J1リーグ残り5節、栄冠を手にするのは広島か、神戸か、それとも町田か
広島と神戸に絞られた優勝の行方昨季の経験がモノを言う神戸が優勢か 浅田真樹(スポーツライター) 優勝:ヴィッセル神戸 さまざまな批判はありながらも、チームとしての戦い方を固めていったFC町田ゼルビアが初昇格初優勝の快挙を成し遂げると見ていたが、ここに来て今季初の連敗。流れは明らかに変わった。 残り試合数と勝ち点差を考えれば、優勝の行方は、サンフレッチェ広島とヴィッセル神戸に絞られたと言っていいだろう。 どちらもACLとJ1を並行して戦わなければならず、大きな日程の有利不利は見られない。神戸には天皇杯も残るが、ここでタイトルを獲得するようなら、むしろJ1連覇へ勢いづく可能性もあるだけに、一概に広島有利とは言えないだろう。 では、チームとしての完成度で勝る広島と、選手個々の能力と経験で勝る神戸とでは、どちらが上か。 昨季を振り返ると、神戸はシーズン終盤、ライバルとの直接対決でことごとく勝利するなど、土壇場での勝負強さが強く印象に残っている。 横浜F・マリノスとのマッチレースを制し、初優勝を成し遂げた経験が大きくモノを言うと見て、神戸の連覇を予想する。
広島が優勝するのが一番美しい選手が躍動し、最高の舞台で戦っている 小宮良之(スポーツライター) 優勝:サンフレッチェ広島 シーズン開幕前の順位予想、個人的には"希望順位"という体で出している。それほど、順位予想を信用していないのだが......。 ここまでの戦いを振り返って、「優勝にふさわしいのは」と聞かれたら、「サンフレッチェ広島」と答えるだろう。別に、ヴィッセル神戸やFC町田ゼルビアがふさわしくない、と言っているのではない。ふさわしいのは? と聞かれたら、の答えだ。 なぜなら、広島が優勝するのが一番美しい。 ひとつは、ミヒャエル・スキッベ監督はミハイロ・ペトロヴィッチ監督(北海道コンサドーレ札幌)と並び、今シーズンのJリーグで最も「プレーコンセプトを感じる」指導者と言える。ディテールのミスなどいくらでもあるが、どういうサッカーを志向しているのか、が伝わってくる。 そして監督のコンセプトのなか、選手たちが躍動している。単純に「サッカーがうまくなっている」というのか。FW大橋祐紀(ブラックバーン)、MF川村拓夢(ザルツブルク)というふたりの主力をシーズン途中の移籍で失っても、これだけ勝ち点を稼げているのは、チーム力の証明だろう。MFトルガイ・アルスラン、FWゴンサロ・パシエンシア、MF川辺駿の獲得も成功だった。 最後に、今シーズンからお披露目したエディオンピースウイング広島は"優勝にふさわしい"決定打と言える。市内の中心にそびえ、専用スタジアムとして活気、熱気を増幅させる。以前のスタジアムは市内から遠く離れていたし、陸上スタジアムだっただけに......。 広島は、監督、選手がコンセプトを体現し、最高の舞台で戦っている。もちろんシーズンの最後に、ACLを並行して戦う不利はあるだろう。しかし、"優勝にふさわしい"のは広島だ。