シソが香る和風「マルガリータ」、高級テキーラの職人技味わう 品川プリンスホテル
連載《hotel TIPS》Vol.24
編集長がホテルのおいしいものや楽しみを探しに行く「hotel TIPS」。テキーラがベースの有名カクテル「マルガリータ」は、フローズンスタイルにしたり、イチゴやメロンのリキュールを用いたりと、色も味わいも多彩なラインアップがそろうのが魅力です。そのマルガリータを和風にアレンジした美しいカクテルがあると聞いて、ぜひ飲んでみたいと品川プリンスホテル(東京・港)の「テーブルナイン トーキョー」に向かいました。 【1分動画・写真はこちら】「安酒・暴飲」のイメージ破るプレミアムテキーラ、カクテルにどう使う? バーテンダーは何を語る?
■苦み・甘さ・酸味…ほどよく調和
「Atsurae あつらえ ~匠(たくみ)の芸術~」と名付けられたそのカクテルは美しい赤色。グラスの縁に赤紫のシソと塩のパウダーをまぶしたスノースタイルで、上部には穂ジソが飾られています。その妖艶な雰囲気も漂うあでやかな見た目は、ホリデーシーズンにもぴったりでしょう。 口をつけると、カクテルからもグラスの縁からもシソの香りが漂ってきます。テキーラ、ライムジュース、イチゴシロップの苦みと甘さと酸味が溶け合った、しっかりした味わい。その中にふと立ち上がるのが、ベースとなるテキーラのウイスキーのようなスモーキーな香りです。 チーフバーテンダーの門間輝典さんがその正体を明かしてくれました。「ドン・フリオというプレミアムテキーラを使っています。2007年ごろに初めて飲んで、そのシルキーでなめらかな口当たりと、香りの高さにびっくりしました。いつかこのテキーラをベースにカクテルを作りたいと思っていました」。
■「格上」クラフトテキーラで念願のカクテル完成
近年、原料の多肉植物「アガベ」を厳選し、製法にこだわったクラフトテキーラが人気となっています。ドン・フリオも代表的な銘柄の1つです。材料は100%アガベで、手作業で苦みの元となる部分をていねいに取り除いているのだとか。「日本酒でいえば純米酒のようなテキーラなんです」 門間さんは札幌プリンスホテルに勤務していた2010年に、このカクテルを考案して「HBAクラシック創作カクテルコンペティション」に参加しグランプリを受賞しました。当時、北海道でシソのお酒が流行していたことから、地元のシソのお酒と、職人技が光るテキーラを組み合わせたのです。 「悪評が高かったそれまでのテキーラを、プレミアムなお酒へと昇華させたドン・フリオの職人魂には、日本人が大いに共感するところがあると考えました」 ネーミングの「あつらえ」は、着物などの「あつらえ物」からとった言葉です。「お客様ひとりひとりのために最高のものをつくるという日本文化の心は、ホテルバーテンダーの気持ちと同じですから」