写楽や歌麿を世に送り出した蔦重のスゴい仕事術…NHK大河「べらぼう」主人公に学ぶ仕事のコツ
■手が行き届かないところは番頭に任せていた 蔦重にとって何より大切だったのは、とにかく人と会って情報を集め、関係性を築いていくこと。それが最優先事項でした。 こういったなかで、自分の手が行き届かないところは番頭に任せ、書店の切り盛りを委ねるなどして時間をつくりだしていたのです。 成功者はみな、物事の優先順位がはっきりとわかっている人たちです。自分でなければできない仕事や、自分が注力すべきポイントを見極めています。そして、その大切なことに掛ける時間を捻出するために、そのほかのことは、上手に人に任せることができます。
そしてまた「人に任せる」というのは、特に賢いリーダーのたしなみであると感じます。 任せるということは、相手の得意なことを見抜き、その能力を信じるということ。人に何かを託すということは、相手の可能性を引き出すということです。 そのようなリーダーが率いる組織は、自ずとメンバーたちの士気が上がり、全体のレベルも底上げされていきます。 ■大胆なことをしたいなら、同時に手堅い仕事も押さえる 「斬新なアイディアを次々と放つ異才」という印象が色濃い蔦重ですが、実は冷静で緻密なビジネスパーソンであったことを忘れてはなりません。
奇抜で自由奔放にも見えた仕事ぶりは、あくまで堅実な戦略の上に成り立っているものでした。 世の中に「絶対」はありません。蔦重はそのことをよく理解していました。ビジネスとは、いわば博打です。成功する確率が100%のものなどありません。前人未到のことを成し遂げようとするなら、なおさらリスクは跳ね上がります。 どんなに斬新なアイディアを思いついたとしても、それが確実にうまくいく保証はどこにもないということは、常に肝に銘じていたことでしょう。
だからこそ、思いきったビジネスに挑戦するその傍らでは、「着実に利益を得られる事業」も大切にすることで、抜かりなく地固めをしていきました。 たとえば本の世界でいうと、今の出版業界にも大いに通じることですが、書籍の特性は、「どう転ぶかわからない本」と、「ある程度、安定した売り上げが見込める本」の2パターンに大まかに分類することができます。 前者はいわゆる、チャレンジングで尖った企画。たとえば、影響力が未知数の新人作家のデビュー小説や、突飛で独特な内容の本などが挙げられるでしょう。