48歳・佐藤慎太郎はS班陥落も“何も終わってない!” 白旗持たずで己の競輪を全う「来年何を見つけられるかは未知数」
白旗は掲げられない
さて、今年ここまでずっといい走りをしているわけでも納得して走っているわけでもなく、まだまだ自分に力不足を感じている。だが、このタイミングで言えば強がりに思われてしまうことを恐れずに踏み込んだ表現をすれば、オレの力は『そこまで落ちていない』んだよね。それでも成績の浮き沈みが激しくなってしまったのは周りの選手レベル、競輪のレースレベルが上がっていることに理由があると分析している。 気持ちでカバーしてきたことが、気持ちでカバーしきれないと感じた場面もあったね。でもこれは敗北宣言ではなく、白旗を掲げるには至っていない。対応していきたいし、対応できる範囲にあるレベルだと考えている。決して威勢のいい強がりではない。だから、来年このままガタガタっと落ちていくのか、それとも踏み止まれるのか、S班というアドバンテージを失いながらもしがみついていけるのか。正直、楽しみではある。楽しみっつーか、新しい刺激に出会えそうだなって感じが近いのかな。 気持ちでカバーしきれないなら、物理的にレベルアップしなければならないわけだけど、肉体的な超進化はさすがに求められない歳だ。自転車機材と向き合い、戦い方と向き合い、1レース1レース物凄い速度で進化する競輪に対応していくほかないだろう。限界はたしかに気のせいだ。だが気のせいで済まされない限界もあることは受け入れていく。いずれにせよ、トータルで自分の限界を引き上げて戦うしかねえってこと。白旗? そもそもどこ探したって持ってねーや(笑)。
■何を見つけられるかは未知数 とはいえ、冷静に考えて失うアドバンテージは結構デカい。オレの場合、歳を重ねてからのS班ってのもあって、そこに助けられていた部分は相当ある。GIの出場権が確実に与えられることだったり、特選スタートでシリーズ入りできることだったり。“シード”的な制度の恩恵が受けられなくなるのは率直に難しいことになるだろう。この辺りは甘く考えず、不安に感じておくくらいがちょうど良さそう。どうやってトレーニングメニューを組もうかと考える時から予選が始まってるイメージ感だ。 そういう難題に立ち向かうって意味では、今年は大事な収穫があった。オレはずっと自転車のセッティングに興味がなく、「自転車どうこうじゃなくて肉体が限界を超えればいい」という考え方だった。しかし、昨年ごろから一気に進化していく競輪界に身を置いたことで「自転車を気にかけて自転車が進むなら、それもやらなくてはいけないんじゃないか?」と自然に受け入れるようになっていった。もちろん、肉体を鍛えて、自転車にも意識を向けて取り組んだ方が走力が上がることなど、わかっていた。知識の上ではずっと前から理解していた。