【政治解説】「悲惨なことになっている」党内から公然と“岸田交代”の声 “ポスト岸田”石破氏の“壁”とは 2024年6月 最新世論調査解説
“ポスト岸田”に異変 河野氏の支持低下
【菅原】 そうなると、“ポスト岸田”を争う総裁選の座組がどうなるのかですね。 【竹内】 今回の世論調査では、ちょっと“異変”がありました。というのも、これまで、ワンツースリーは“小石河”と呼ばれる、小泉元環境相、石破元幹事長、河野デジタル相の3人だったのですが、このうちの河野氏が5位に下がってしまったんです。前回の調査は10%あって3位でしたが、今回は4ポイント下げて6%になってしまいました。
理由はいろいろと言われていますが、ある閣僚経験者は、「だんだんみんな彼(河野氏)のことがわかってきたんだろう。中国の問題とか」と指摘していました。“中国の問題”というのは、いわゆる“中国企業のロゴ問題”のことです。エネルギー政策に関する河野氏の私的懇談会に、中国との距離が近いとされる委員が起用され、この人が提出した資料に、中国の国営電力会社のロゴが入っていたことが明らかになりました。この問題によって、「中国の意向で、日本のエネルギー政策がゆがめられているのではないか」と疑う声があがり、それ以来、河野氏は“中国に近いのではないか”というように見られている、これが支持率低下の原因ではないかというのです。それだけではなく、タクシー不足を打開するとして注目されたライドシェアの解禁がうまく進まなかったことや、マイナンバーのトラブルが影響したという指摘もあります。
「ポスト岸田」“若すぎる”小泉氏
【菅原】 “小石河”のほかの二人、石破氏と小泉氏はどうですか? 【竹内】 小泉氏はまだ40代と若く、菅氏が強調していた“刷新感”は出ますよね。ただ、逆に“若い”ということは、「経験が足りない。若すぎる」と不安視する見方にもつながってるようなんです。 【菅原】 実際に、父の小泉純一郎元首相も「まだ早い」と言っていると伝わっています。では、石破氏はどうでしょう。
「ポスト岸田」 石破氏に“壁”
【竹内】 私たちの世論調査では、今回も石破氏が1位でした。こうした“ポスト岸田”の調査は、去年の12月から、これで5回目ですが、全て石破氏が1位です。国民からの支持、人気というものがやはり、石破氏の最大の武器です。ある野党幹部も、「(自民党の党首が)石破さんになったらかなり痛い。岸田さんで衆院選をやりたい」と言ってました。 【菅原】 なるほど、本音ですね。ただ、自民党内では“反石破”の人も多いですよね。たとえば、麻生副総裁ですとか…。 【竹内】 そうですね。一方で、これだけ自民党が弱っているので、ちょっと面白い見方が出ています。自民党の経験豊富な議員が言っていたのですが、「石破さんの支持率が30%を超えたら、自民党内は “石破容認”、“石破支持”に傾くだろう」と。「自民党内に“石破アレルギー”はすごくあるけれど、国民の支持率が30%を超えれば、『石破さんが党首のほうが、自分も当選できる』と思うようになり、アレルギーどころではなくなるだろう」と。 【菅原】 それは“議員心理”という感じですね。絶対的にやはり、「自分が選挙で勝てるかどうか」ということを第1条件にもってきますよね。 【竹内】 そうなんです。もう“好き嫌い”なんて言っていられないということですね。 【菅原】 特に、小選挙区制では、党首のイメージというか、党首の“顔”で戦うというところが大きいですよね。 【竹内】 ただ、同時に、このベテラン議員はこんなことも言っています。「石破さんは支持率が20%台から伸びていない。30%台になるのは簡単じゃない。石破さんには支持率30%という壁がある」と。